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画像処理機器が治療室にやってきた!実証進む医療のスマート化

デンソー、パイオニア、日立製作所などの機器が連携
画像処理機器が治療室にやってきた!実証進む医療のスマート化

最先端の医療機器を連携したスマート治療室

 医療機器をネットワーク化し、多様な診療データを共有することで、医療事故の低減や治療スキルの向上につなげる「スマート治療室」の開発プロジェクトが熱を帯びている。日本医療研究開発機構(AMED)や東京女子医科大学が主体となり、ロボットやIT、画像処理機器の接続テストでは、これまでに二十数社の約40の機器が接続され、ノウハウの蓄積を図る。さまざまな医療機器の設定や使用を一元的に管理して安全性の向上や、効率的な治療を狙う。

 機器から得たデータを医師に指示するディスプレー、患者を磁気共鳴断層撮影装置(MRI)内へ搬送するロボット手術台、術中にがんの取り残しを確認するMRI。東京女子医大に試作モデルとして設置されたスマート治療室「ハイパースコット」には、最先端の機器が所狭しと並ぶ。

 デンソー、パイオニア、日立製作所、キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)など各社の機器を連携するのが産業用ソフトウエア「オペリンク」だ。異なるメーカーの工場自動化(FA)機器を共通のソフトウエアで管理できる規格「ORiN(オライン)」を医療用に応用した。デンソーの奥田英樹新事業統括部メディカル事業室長は、「手術室のパッケージング化も、工場と同様にできるのではないかという発想が開発のきっかけ」と振り返る。

 プロジェクトの中心人物の1人、東京女子医大の村垣善浩教授も「治療室を一つの医療機器ととらえ、スタッフが連携して効率を高めたい」と語る。

 すでに広島大学は2016年5月にハイパースコットの基本仕様モデル「スタンダードスコット」の使用を始め、脳腫瘍手術など15例以上の実績を上げた。信州大学は18年中のスタンダードスコットの設置に向けて準備する。東京女子医大のハイパースコットは19年に完成する予定だ。実績を積み重ね、「さまざまな医療現場に応用したい」(村垣教授)と意欲を見せる。

 政府は20年に日本の医療機器の輸出額で約1兆円(15年度は約6000億円)を目標に掲げている。そんな中で「海外からスマート治療室を構築したいとの問い合わせが来ている」(同)と喜ぶ。
(文=浅海宏規)
日刊工業新聞2018年4月3日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日本が強みを持つロボット技術や診断技術を生かし、治療室そのものをパッケージ化して海外展開することも期待できそうだ。 (日刊工業新聞・浅海宏規)

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