キャッシュレス化で中国のATM需要にブレーキ、どうするOKI?
生産改善、低コストで「多品種少量」に対応
OKIの主力事業である現金自動預払機(ATM)を取り巻く環境が大きく変化している。世界市場を引っ張ってきた中国でキャッシュレス化が大幅に進展し、需要にブレーキがかかった。こうした現状を前に、OKIは国内のマザー工場で培った生産改善技術の海外への横展開を検討し、一層の競争力向上を目指す。
メカトロシステム事業本部の富澤将一メカトロシステム工場長は、「4年前までは中国のキャッシュレス化はそれほど進んでいなかったが、今は出稼ぎ労働者もスマートフォンで送金する時代になった」と説明する。
同事業では、地産地消の考えを基本に、国内と中国、ブラジルの3工場で完成品を生産し、世界各国に供給する。中国工場は現地市場が縮小してきたとはいえ、3工場の中で最も多くの紙幣還流式ATM(r―ATM)を生産する拠点。インドや東南アジア、ロシア市場への輸出も担っている。
今後、他地域の市場が拡大すれば、中国工場の位置付けも変わるが、現在は人件費上昇への対応も含めて生産性を高めることが第一。
「投資対効果を判断しながら、国内で培った生産改善技術を海外工場へ横展開したい」(富澤工場長)という。また、同じATMでも、海外ATMは金庫部分に厚板を採用するなど仕様が違う。
また、将来キャッシュレス化が進めば、電子マネーチャージ機などATMに限定されない多様な端末のニーズが予想される。多様な製品に対応できる生産性の向上は欠かせない。
国内のメカトロシステム工場(群馬県富岡市)は、部品加工から完成品の生産、出荷梱包までの一貫工場で、多品種少量生産に対応できることが強みだ。現金処理機や営業店端末、旅客端末などのほか、高精度な組み立て技術の必要な中核部品などを生産し、海外工場へ出荷している。
部品加工では、板材から表面処理までの一貫加工に取り組むほか、汎用加工機を使って切り抜きや曲げを行う加工技術の精度を高めている。組み立て工程では、低価格化したIT機器を有効活用し、低コストで多品種少量生産を支援する技術を自前で開発している。
その一つが、プロジェクターを使った組み立て作業の支援システムだ。作業台上にある部品棚に、部品の個数指示や注意喚起をプロジェクターで投写する。棚に手を差し入れる動作をカメラでとらえ、ピックアップを認識する。作業台上には組み立ての指示書や作業の動画を投写する。
作業終了後、各作業にかかった時間の分析や無駄な動きをした工程の抽出などを行い、生産改善に役立てられる。同システムは外販も計画している。
国内で培った多様な生産改善技術の中から、作業指示の工夫や品質対策など、横展開できる技術から順次海外へ展開する。これと同時に、「3工場トータルでのパフォーマンスを上げたい」(富澤工場長)と話す。
(文=梶原洵子)
メカトロシステム事業本部の富澤将一メカトロシステム工場長は、「4年前までは中国のキャッシュレス化はそれほど進んでいなかったが、今は出稼ぎ労働者もスマートフォンで送金する時代になった」と説明する。
同事業では、地産地消の考えを基本に、国内と中国、ブラジルの3工場で完成品を生産し、世界各国に供給する。中国工場は現地市場が縮小してきたとはいえ、3工場の中で最も多くの紙幣還流式ATM(r―ATM)を生産する拠点。インドや東南アジア、ロシア市場への輸出も担っている。
今後、他地域の市場が拡大すれば、中国工場の位置付けも変わるが、現在は人件費上昇への対応も含めて生産性を高めることが第一。
「投資対効果を判断しながら、国内で培った生産改善技術を海外工場へ横展開したい」(富澤工場長)という。また、同じATMでも、海外ATMは金庫部分に厚板を採用するなど仕様が違う。
また、将来キャッシュレス化が進めば、電子マネーチャージ機などATMに限定されない多様な端末のニーズが予想される。多様な製品に対応できる生産性の向上は欠かせない。
国内のメカトロシステム工場(群馬県富岡市)は、部品加工から完成品の生産、出荷梱包までの一貫工場で、多品種少量生産に対応できることが強みだ。現金処理機や営業店端末、旅客端末などのほか、高精度な組み立て技術の必要な中核部品などを生産し、海外工場へ出荷している。
部品加工では、板材から表面処理までの一貫加工に取り組むほか、汎用加工機を使って切り抜きや曲げを行う加工技術の精度を高めている。組み立て工程では、低価格化したIT機器を有効活用し、低コストで多品種少量生産を支援する技術を自前で開発している。
その一つが、プロジェクターを使った組み立て作業の支援システムだ。作業台上にある部品棚に、部品の個数指示や注意喚起をプロジェクターで投写する。棚に手を差し入れる動作をカメラでとらえ、ピックアップを認識する。作業台上には組み立ての指示書や作業の動画を投写する。
作業終了後、各作業にかかった時間の分析や無駄な動きをした工程の抽出などを行い、生産改善に役立てられる。同システムは外販も計画している。
国内で培った多様な生産改善技術の中から、作業指示の工夫や品質対策など、横展開できる技術から順次海外へ展開する。これと同時に、「3工場トータルでのパフォーマンスを上げたい」(富澤工場長)と話す。
(文=梶原洵子)
日刊工業新聞2018年3月28日