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日本水産が養殖にAI、ブリの体重測定から

飼料補充の自動化も視野
日本水産が養殖にAI、ブリの体重測定から

ブリ魚体の体重把握は出荷品質のアップに直結する

 日本水産は魚の養殖事業で、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)導入を加速する。ブリを念頭に、AIを用いた養殖魚の体重測定装置を2018年度中に開発、ギンザケなど他の魚種へも順次、応用を図る。魚体の側面像が必要な現在のカメラシステムより操作性や精度が向上し、出荷魚の品質を高められる。飼料補充の自動化でもAI、IoTなどを積極活用する方針。

 養殖事業で、イケス内を泳ぐ魚の体重や健康状態をチェックすることは、歩留まりや品質につながる重要課題。ブリの場合、一つのイケスに約4000匹の魚がおり、高解像度の水中カメラで魚を連続撮影。体高と体長が分かる側面像を選んで長さを測定、演算式を用いて体重を計算していた。

 これまで膨大な画像の中から側面像を選ぶのに手間がかかる上、計算した体重がイケス内の魚の平均値かどうか、確証が持てなかった。

 AIを用いると魚が体をひねって泳いでいたり、カメラ正面に向かって泳いだりするケースでも学習機能で推定計算できるため「手間や時間が大幅短縮、精度も高められる」(前橋知之執行役員)。

 飼料補充自動化でもAI、IoTの導入を急ぐ。日の出と日没時刻近辺で魚が多く餌を食べることが分かっており、自動給餌で早朝出勤などの人件費を節約する。

 ただ、全部の魚に餌が行き渡るには複数回に分けるなど魚種ごとや季節の問題があり、このあたりをAIに学習させて給餌精度を高める。
日刊工業新聞2018年3月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
従来の水中カメラシステムは豪州製だったが、18年度に開発の新システムは国内の2社と共同開発する。 (日刊工業新聞第二産業部・嶋田歩)

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