新入社員が社内制度を作るウエディングパーク、20代への忖度
日紫喜社長インタビュー「20代がしらけない制度を重視」
「働き方改革」が話題になっている。長時間労働の是正に加えてセクハラやパワハラといった言葉も一般化し、対策に乗り出す企業が増えてきた。その一方、ジェネレーションギャップもあり「若手との付き合い方が分からない」と漏らす中堅~ベテラン社員の声もちらほら聞かれる。そんな中、独自の制度を取り入れて社内の風土改革や、若手のモチベーションアップにつなげているのが、結婚式場の口コミサイトなどを展開する、ウエディングパーク(東京都港区)だ。同社の平均年齢は28歳。日紫喜誠吾社長に背景や効果などを聞いた。
-新入社員が社内制度を作る「せどつく」など、独自の制度を設けています。
「新入社員が入り始めた2012年から色々な社内制度を作り始めた。『せどつく』は自ら考えて動くことを重視して取り入れた制度だ。例えば15年には、メンターが欲しいという若手の要望から、部署横断で先輩社員とカレーを食べに行く『カレーファミリー』という制度が生まれた。当初の目的だけでなく、会社にとって必要な組織としての課題が浮き彫りになっており、効果を感じている」
-ワガママな制度も出てきそうです。
「確かに昔、海外旅行研修という案が出たこともあった。『結婚を、もっと幸せにしよう』という理念に沿っているのかを、実際に制度化するかどうかの一つのものさしにしている。ただ厳密にしても楽しくないので、結構ゆるくやっている。昔は無理やムダに厳しかったが、ゆるす所もある程度はないと20代の社員は楽しいと思えない。20代がしらけない制度を重視しており、メリハリやムードづくりのために、あえてバッファーを残すことは意識している」
-他にも若手のモチベーションアップのために意識していることはありますか。
「ほめる文化を大切にしている。月末や半年に1度の社員総会での表彰に加え、全社員をフェイスブックでグループ化し、良いと思ったことを全員でどんどん共有するなど、意識して土壌を作っている。会社の一体感を高めるのが狙いだ。とはいえ、ほめすぎて分別がつかなくなるのは問題。そこで目標設定とその振り返りを、早いタイミングで実施するようにしている。上司も一緒に社員のレベルを考慮しながら目標を設定し、そのためのアクションプランも考えて月に1度の面談で進捗を確認する。若手を中心に『他人とつながりたい』とか『一緒に考えたい』という欲求があるように感じている」
「同時に積極的にリスクを取らせることもしている。小さな組織を複数作り責任者とすることで、荒波にもませる。自ら手を挙げる風土を作り、会社もその人に任せる。失敗に対する耐性を早くから養える。例えばある若手社員は事業を立ち上げたものの結果、撤退した。しかしその後他部署に異動し、そこでMVPを獲得した。失敗しても成果を出せば評価されると周知することで、会社に対する信頼も高めている」
-そういった組織の風土や制度を作った背景は。
「09年に経験した会社崩壊の危機がきっかけとなっている。当社は99年に創業し、04年にサイバーエージェント傘下に加わった。社長に就任したのは05年で、事業の原型はよかったものの、一定期間までに成果を出さねば撤退という厳しいルールがあった。当時の社員は私のほかに20人。ある時、期日までに成果を出すのが厳しいと判明した。その際に創業役員2人と社員の半分が辞めてしまった。なんとかサイバーエージェントの役員や社長を説得して事業は継続できたが、この時、事業モデルと組織づくりの両方がなければ経営はできないのだと痛感し、心から反省した。そこで会社の理念から作り直し、現在のような会社の基盤を構築した。会社の成長と永続性を組織作りにコミットさせた」
-会社の成長には継続的な改革も必要です。
「今後は国内だけでなく、海外展開も視野に入れる。日本のホスピタリティやコミュニケーションは、世界にも影響を与えられると考えている。またブライダルにテクノロジーの要素を取り入れたい。現在、ウエディングプランナーの不足が課題の一つとなっている。例えばロボットの活用や製造業との連携などで解決できるかもしれない。きちんと根付いたカルチャーがあれば、会社は正しい方向に進むのではないか。ビジョンである『21世紀を代表するブライダル会社を創る』とは何かを追求しながら、事業成長につなげたい」
(聞き手=政年 佐貴惠)
-新入社員が社内制度を作る「せどつく」など、独自の制度を設けています。
「新入社員が入り始めた2012年から色々な社内制度を作り始めた。『せどつく』は自ら考えて動くことを重視して取り入れた制度だ。例えば15年には、メンターが欲しいという若手の要望から、部署横断で先輩社員とカレーを食べに行く『カレーファミリー』という制度が生まれた。当初の目的だけでなく、会社にとって必要な組織としての課題が浮き彫りになっており、効果を感じている」
-ワガママな制度も出てきそうです。
「確かに昔、海外旅行研修という案が出たこともあった。『結婚を、もっと幸せにしよう』という理念に沿っているのかを、実際に制度化するかどうかの一つのものさしにしている。ただ厳密にしても楽しくないので、結構ゆるくやっている。昔は無理やムダに厳しかったが、ゆるす所もある程度はないと20代の社員は楽しいと思えない。20代がしらけない制度を重視しており、メリハリやムードづくりのために、あえてバッファーを残すことは意識している」
-他にも若手のモチベーションアップのために意識していることはありますか。
「ほめる文化を大切にしている。月末や半年に1度の社員総会での表彰に加え、全社員をフェイスブックでグループ化し、良いと思ったことを全員でどんどん共有するなど、意識して土壌を作っている。会社の一体感を高めるのが狙いだ。とはいえ、ほめすぎて分別がつかなくなるのは問題。そこで目標設定とその振り返りを、早いタイミングで実施するようにしている。上司も一緒に社員のレベルを考慮しながら目標を設定し、そのためのアクションプランも考えて月に1度の面談で進捗を確認する。若手を中心に『他人とつながりたい』とか『一緒に考えたい』という欲求があるように感じている」
「同時に積極的にリスクを取らせることもしている。小さな組織を複数作り責任者とすることで、荒波にもませる。自ら手を挙げる風土を作り、会社もその人に任せる。失敗に対する耐性を早くから養える。例えばある若手社員は事業を立ち上げたものの結果、撤退した。しかしその後他部署に異動し、そこでMVPを獲得した。失敗しても成果を出せば評価されると周知することで、会社に対する信頼も高めている」
-そういった組織の風土や制度を作った背景は。
「09年に経験した会社崩壊の危機がきっかけとなっている。当社は99年に創業し、04年にサイバーエージェント傘下に加わった。社長に就任したのは05年で、事業の原型はよかったものの、一定期間までに成果を出さねば撤退という厳しいルールがあった。当時の社員は私のほかに20人。ある時、期日までに成果を出すのが厳しいと判明した。その際に創業役員2人と社員の半分が辞めてしまった。なんとかサイバーエージェントの役員や社長を説得して事業は継続できたが、この時、事業モデルと組織づくりの両方がなければ経営はできないのだと痛感し、心から反省した。そこで会社の理念から作り直し、現在のような会社の基盤を構築した。会社の成長と永続性を組織作りにコミットさせた」
-会社の成長には継続的な改革も必要です。
「今後は国内だけでなく、海外展開も視野に入れる。日本のホスピタリティやコミュニケーションは、世界にも影響を与えられると考えている。またブライダルにテクノロジーの要素を取り入れたい。現在、ウエディングプランナーの不足が課題の一つとなっている。例えばロボットの活用や製造業との連携などで解決できるかもしれない。きちんと根付いたカルチャーがあれば、会社は正しい方向に進むのではないか。ビジョンである『21世紀を代表するブライダル会社を創る』とは何かを追求しながら、事業成長につなげたい」
(聞き手=政年 佐貴惠)
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