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補助金の季節、申請へ3つの注意点

 補助金の季節がやってきた。先週の本稿でものづくり補助金が取り上げられたが、例年、年度末に向けては補正予算、新予算が動きだし、多くの補助金の公募がスタートする。

 今回はほぼ全ての補助金に共通する注意点をお伝えする。

(1)補助金に振り回されないこと

 時々、「この補助金を使ってできる事業はありませんか?」という相談を受ける。コンサルタントである私の立場としては、一応のアイデアは出すのだが、実は本末転倒な話だ。

 補助金は、元々計画していた事業や設備投資があって、補助金によって投資リスクが下がることで事業を前倒しするなど、事業の後押しとして活用すべきものだ。補助金をもらうためにわざわざ事業を考えるというのは筋が違う。

 また、補助金を期待して事業開始を遅らせてしまう人も良く見る。資金手当て等の関係でやむを得ない場合もあるが、収益性に自信のある事業、設備投資ならさっさと行うべきである。

(2)審査ポイントを強く意識すること

 補助金の募集要項には必ず審査ポイント(または採択基準など)が記載されている。100万円以下の比較的少額の補助金では、審査ポイントに対応した回答を明確にするだけで、十分合格ラインに到達することもある。逆にどんなに詳細かつ魅力的にアピールをしても、審査ポイントを無視していれば間違いなく落ちると思った方がよい。

 申請書を書き上げたら、いま一度チェックするべきである。

(3)合否は運の要素も大きい

 過去にさまざまな補助金のサポートを行ってきたが、私個人の主観で見て、納得のいかない合否はたくさんあった。補助金の審査は、いわば、採用面接のようなものである。審査は人の目で行われており、個人差が大きいのが現実だろう。誰が見ても合否がはっきりするものもあると思われるが、ほとんどの案件は人によって判断が分かれるということだ。

 時々、補助金獲得に執念を燃やし、「この補助金に賭けています」という人を見るが、やめたほうが良い。補助金は不合格ならそれまでである。それほどの時間を費やすなら、何度でも敗者復活が可能な営業活動などに労力を割くべきである。

 以上の点に注意して、効果的に補助金を活用していただきたいものである。
(文=佐々木陽三朗・中小企業診断士)
日刊工業新聞2018年2月13日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今期は人手不足(自動化)や事業承継関連が多くなるでしょう。出すのは結構だが、効果検証も含めたしっかりしたレビューも。

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