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トヨタ、中国で攻めに出る。稼ぎ頭の北米減速で

今年販売9%増の140万台、20年にEV
トヨタ、中国で攻めに出る。稼ぎ頭の北米減速で

トヨタ自動車の豊田章男社長

 トヨタ自動車が世界最大市場の中国の取り込みに動く。2018年(暦年)の販売台数を前年比9%増の140万台に設定。また20年以降は電気自動車(EV)など電動車の投入を拡大する。背景には長らく利益に貢献してきた北米市場の減速もある。中国市場で先行する他の日系メーカー各社も電動化戦略を急いでおり、巨大市場での競争は激化しそうだ。

 「中国で20年に独自のEVを発売する。他社に追いつけると思っている」。トヨタの小林耕士副社長は6日の決算会見の席上でこう述べ、“EVシフト”の進む中国市場の刈り取りを急ぐ考えを示した。18年3月期のグループ総販売台数(日野自動車・ダイハツ工業を含む)も中国販売の好調などから従来予想を5万台上積みし、1030万台とした。

 トヨタは30年にEVと燃料電池車(FCV)で年間100万台を販売する目標。EV販売の多くは中国になる見通しだ。中国では20年以降に高級車ブランド「レクサス」のEVを含めて電動車投入を検討する。

 これまでトヨタの利益の源泉だった北米は急減速している。トヨタは18年初からの1年半で一部改良も含め15の新型車を北米に投入する計画で、売れ筋のピックアップトラックの増産も進めるが、販売奨励金の増大などで収益力は落ちている。トヨタにとって中国での電動車を含む拡販戦略の成否が今後のカギを握る。

 日系の車メーカー各社は中国で電動化戦略を加速する。日産自動車は現地合弁会社を通じ、22年までに20車種以上のEVなどの電動車を投入する計画を発表している。ホンダは18年に現地専用EVを発売するほか、20年頃にプラグインハイブリッド車(PHV)も投入する予定だ。中国で環境規制の導入が進む中、電動化への対応を進めることで需要を取り込む。
               
日刊工業新聞2018年2月7日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
2018年3月期の純利益の見通しは2兆4千億円で日本企業としては過去最高になる。ただ営業利益ベースでは北米が足を引っ張り為替に助けられたりと必ずしも順風とはいえない。成長する中国市場において昨年の販売実績は、日産とホンダが2ケタ成長に対しトヨタは6.3%増の129万台にとどまる。これまで慎重に振る舞ってきた印象もあるが、どこまで本気で攻めていくか見物だ。

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