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今年の世界販売2%増、お世辞にも好調と言えないスバルの正念場

揺れる国内、米国失速、中国は見る影もなし。
今年の世界販売2%増、お世辞にも好調と言えないスバルの正念場

成長から持続的な安定への着地を実現できるか(新型「インプレッサ」と吉永社長)

 SUBARU(スバル)は15日、2018年暦年の世界販売計画を前年比2%増の108万台に設定したと発表した。北米が全体をけん引する見通しで、7年連続の過去最高を計画する。国内は新車投入効果の一巡などにより同11%減の15万7000台と2年ぶりに減少する。

 海外販売は同5%増の92万3000台を計画。このうち主戦場の米国は同5%増の68万台と11年連続の前年超えを見込む。3列シートの新型スポーツ多目的車(SUV)「ASCENT(アセント)」の投入が、モデル末期に入る「アウトバック」「フォレスター」など主力SUVの減少分を補う。

 国内販売のうち軽自動車を除く登録車は同14%減の12万4000台になる見通し。16年10月に発売した新型「インプレッサ」の投入効果が減るほか無資格者による完成車検査問題の影響を織り込んだ。

 世界生産は同3%減の104万台と7年ぶりに減少する。海外は米国工場で生産を始めるアセント分が増えるが、アウトバックなどが減少して、同1%増の36万7000台と横ばい。国内は同5%減の67万3000台と2年連続で減少を見込む。

 昨年末に公表した燃費データを書き換えた疑いについては、現在調査中で計画に影響を織り込んでいない。
日刊工業新聞2018年1月16日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
お世辞にも「好調」とは見えない計画だ。SUBARUは岐路に差し掛かっているだろう。米国と日本の二本柱で飛躍的な成長を遂げてきたが、無資格検査、燃費関連疑惑で国内が大きく変調している。作れば売れるという状態であった米国も、2017年を境に勢いを喪失。中国は見る影もない。飛躍的な台数成長とブランド・企業価値の成長をもたらした吉永社長の経営は正念場だ。成長から持続的な安定への着地を実現できるか、真価が問われる局面である。

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