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スバルの新車投入は大丈夫か、今度は「燃費疑惑」で下請け動揺

過去の苦い思い出蘇る、来年は有力車が控えているのに…
スバルの新車投入は大丈夫か、今度は「燃費疑惑」で下請け動揺

国交省の奥田哲也自動車局長に再発防止策を提出する吉永泰之スバル社長(左)

 「完成車の無資格検査問題に一定の区切りが付き、胸をなでおろしたところだったが…」。SUBARU(スバル)との取引が長い、あるサプライヤー幹部はとまどいを隠せない。スバルが新車の出荷前検査工程で燃費測定値を書き換えていた可能性が発覚し、サプライヤーの間で動揺が広がっている。結果次第ではブランドイメージがさらに悪化し販売や生産に影響が出る可能性がある。各社はスバルの動静を注意深く見守っている。

 スバルを巡り、新車を出荷する前の抜き取り検査で自主的に行っている燃費の計測値が書き換えられた可能性があることが分かった。

 無資格検査問題の社内調査の中で一部の従業員が「計測値に変更行為があった」と発言して判明した。無資格検査問題の原因や再発防止策をまとめた報告書を国土交通省に提出した直後に公になった。

 「昔、スバルが車両重量を改ざんし大問題になったことをつい思い出してしまった」と漏らすのは別のサプライヤー首脳。1984年、新型「スバル・レオーネ」の型式指定を受ける際に申請値より軽かった試作車に当時の担当者が鉛を搭載し重量を意図的に調整。国の審査を通過していたことが発覚した事件のことだ。

 この問題により、レオーネの発売が当初より遅れ、サプライヤーは部品の生産計画を変更するなど混乱が生じたという。「燃費データの書き換えが事実なら、風通しの悪い企業体質が昔からずっと続いていたと言わざるをえない」(サプライヤー首脳)。

 無資格検査に加え燃費データの改ざんがあったとすれば、ブランドイメージの悪化は避けられそうにない。足元の国内受注は昨年秋に発売した新型「インプレッサ」の反動減との見方もあるが、前年比3割減となっている。

 重要保安部品のサプライヤーは「風評被害が出れば自社の業績にも直結する。下請けとしてメーカー側の要望に応えようと厳しいコスト要請にギリギリのところで対応しているのに、自ら決めたルールに従っていなかったとすればアンフェアだ」と指摘する。

 スバルは燃費データ書き換えの可能性について事実関係を調査し国交省に報告する予定だが、めどは立っていない。
日刊工業新聞2017年12月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
2018年には「フォレスター」や「ASCENT(アセント)」など有力な新型車の投入を控えているだけに、サプライヤー各社は不安の色をにじませている。 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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