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昨年の新車販売、「NーBOX」が年間首位。その魅力とは

ファミリーカーとして乗り心地や性能を確実に進化
昨年の新車販売、「NーBOX」が年間首位。その魅力とは

ホンダ公式ホームページより

 日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽協)が11日まとめた2017年の車名別新車販売によると、ホンダの軽自動車「N―BOX」が前年比17・2%増の21万8478台を販売し、初の年間首位を獲得した。ホンダ車が年間首位になるのは02年の小型車「フィット」以来15年ぶり。2位のトヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」に5万台以上の差をつけた。

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日刊工業新聞2018年1月12日



子育て生活が楽になるかを考え抜いた


【本田技術研究所四輪R&Dセンター商品開発責任者主任研究員・白土清成氏】

 2011年12月の発売以来、初めての全面改良となる。開発段階で特にこだわった点が、ファミリーカーとして乗り心地や性能を確実に進化させること。当社の開発陣には車好きが多く、走って楽しい車作りに陥りがちだ。そのため、チーム内でしっかりと意思統一して開発にあたった。

 N―BOXの顧客はファミリー層で、子育てに励む“ママユーザー”が中心。彼女らの生活を徹底研究し、どうすれば子育て生活が楽になるのか、喜ばれるのかを考えた。

 今回、燃料タンクの薄型化とエアコンのセンター配置により、軽乗用車最大級の室内空間をさらに拡大した。これにより従来の「ベンチシート」に加え、助手席を後方に大きく動かせる「助手席スーパースライドシート」と、車いすごと乗車できる「スロープ仕様」の計3パッケージをそろえることができた。

 中でも助手席スーパースライドは、前後スライド幅を57センチメートルと大幅に広げたことで多彩な使い方ができる。助手席に座りながら後部座席の子どもにも手が届くほか、前にスライドして車内の自由な移動を可能とし、前後席をジグザグに配置すれば車内全員でコミュニケーションをとりやすくなる。

 快適さも追求した。振動や騒音を発生源で抑えるエンジンマウントシステムを採用し、防音材や遮音材も最適に配置することで静粛性を向上した。加えて、高性能ダンパーシステムの採用により、乗り心地と操縦安定性も両立させている。

 今回、当社の先進安全技術「ホンダセンシング」を軽自動車として初めて採用した。衝突軽減ブレーキなど基本の8機能のほか、オートハイビームと後方誤発進抑制の新機能を追加し、全タイプで標準装備とした。またプラットフォームを刷新し、サブフレーム脱落構造などを採用。室内空間とともに、衝突安全性能も高めた。

 車両重量は全体の9割の部品を見直し、軽量ボディー・シャシーなどを採用したことで、従来比約80キログラムの軽量化を実現している。一方でハイテン(高張力鋼板)材の適応拡大や線で結合する「シーム溶接技術」の導入により、高剛性を確保した。

 エンジンは、燃焼効率を高めるためのロングストローク化に加え、VTEC技術を軽自動車として初めて採用した。さらにサスペンションシステムの高性能化やフロントピラーの極細化を施し、安心感のある走りと低燃費、快適な乗り心地を実現した。

2017年09月22日

昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
2011年12月の発売以降、初の首位。ユーザーの使いやすさを徹底的に考えた作りが結果につながったのかもしれません。

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