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再開発ラッシュ、大変身する東京は魅力的か

再開発ラッシュ、大変身する東京は魅力的か

「日本橋川に空を取り戻す会」公式ページより

 都内各所で再開発が進んでいる。2012年12月から続く景気回復は「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長期に及び、有効求人倍率の改善、訪日外国人客の増加といった経済の堅調さも追い風だ。20年の東京五輪・パラリンピック開催を間近に控え、首都・東京はその姿を大きく変えようとしている。

【日本橋】


 現在の日本橋が完成したのは1911年。同地は浮世絵「東海道五十三次」で“日本晴れ”の空とともに描かれた交通の要衝だ。上空を覆う首都高速道路が開通したのは63年。以来、景観の悪化を指摘する声が多かった。

 こうした中、国土交通省は2017年11月に日本橋上空の首都高地下化に向け、具体的な区間や地下ルート検討に着手。今春に区間・ルートの具体案を、今夏に概算事業費・事業スキームの提示を目指す。課題も多いが、実現すれば周辺地域の活性化が期待される。

【大手町】


 続々と新たな高層ビルが登場する大手町地区では、三井物産と三井不動産が大規模複合開発を推進中。2棟のオフィスビルを中心とした建物の延べ床面積は約36万平方メートルで、17年6月に着工し、20年の完成を目指している。

 ビジネス、エンターテインメント、ホテルなどを設ける予定だ。同計画は「外国企業誘致・ビジネス交流のためのMICE機能強化拠点」として内閣府から国家戦略特別区域の特定事業に認定されており、首都・東京のグローバル化を支える重要拠点となる。
                  

(左)大手町の再開発 (右上)内堀通り沿いの再開発イメージ (右下)大規模緑地広場のイメージ(イメージは三井不の資料)

【品川新駅(仮称)】


 品川新駅(仮称)はJR東日本が進める品川開発計画「グローバル・ゲートウェイ品川」の中核施設だ。折り紙をモチーフにした大屋根や障子をイメージした「膜」、「木」などの素材の活用で和を表現する。

 20年春の暫定開業、24年頃の街開きとともに本開業する。駅周辺には高層ビル7棟を建設する計画で、オフィス、ホテル、商業施設を備える。羽田空港とのアクセスの良さを生かした国際都市形成を目指す。
                  

(左)JR東日本品川新駅(仮称)の工事 (右上)品川新駅(仮称)の外観イメージ (右下)同内観イメージ(イメージはJR東日本の資料)

【虎ノ門】


 森ビルは14年に開業した「虎ノ門ヒルズ」の周辺に「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー(仮称)」(19年度完成予定)、「同レジデンシャルタワー(仮称)」(同)、「同ステーションタワー(仮称)」(22年度完成予定)の三つの高層ビル建設を推進中。

 国家戦略特区の整備事業に認定されており、完成すれば“虎ノ門ヒルズ”は約30万平方メートルのオフィス、800戸の住居、約2万6000平方メートルの商業施設を備えた一大複合都市になる。
               

(左)虎ノ門ヒルズと再開発現場 (右上)国道1号(南側)から見た再開発のイメージ (右下)環状第2号線(西側)からの外観イメージ(イメージは森ビルの資料)

【渋谷】


 ハロウィーン、新年のカウントダウンなどで盛り上がる若者の街「渋谷」でも大規模再開発が進む。東京急行電鉄、JR東日本、東京メトロが進める「渋谷スクランブルスクエア」では19年度に第一期(東棟)として高さ約230メートル、地上47階建ての超高層ビルが開業予定。

 27年度には第二期(中央棟・西棟)が開業予定で、合計7万平方メートルの大規模商業施設が渋谷に出現。渋谷駅周辺では道玄坂一丁目駅前地区、桜丘口地区でも再開発計画が進み、新たな“ハレ”の場となりそうだ。
              

(右)渋谷ストリーム (左上)渋谷スクランブルスクエアのイメージ (左下)渋谷川沿いの店舗イメージ(イメージは東急電鉄などの資料)
日刊工業新聞2018年1月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
似たような複合ビルばかりでは、魅力的な街にならない。世界の都市の中でも何度行ってもワクワク楽しめるのがスペイン・バルセロナ。古いものと新しいものが見事にマッチしていてとても興味深い都市づくりをしている。僕個人の希望は「江戸城」の完全復刻です。

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