地方に移住できる人とできない人の違い
「日本中どこでも働ける人」と「東京でしか働けない人」
地方への移住やUターンを検討した時、必ずと言っていいほどネックになるのが、仕事です。実際、東京在住者の4割の人が地方移住、もしくはUターンを検討しているという調査結果もありますが(※1)、そのネックになるのが「仕事」と答えている人も約4割にのぼります。
しかしながら少子化が進行し人手不足問題が深刻化する現代において、地方で仕事が見つからないことはほとんどありません。実際に有効求人倍率を見ても1を超えています。つまり、仕事がネックというのは額面通りに仕事があるかないか、ということではなく「自分が東京で培ってきたキャリアを継続、もっと言うと活かせる仕事があるのか?」ということなのです。
では東京でのキャリアを活かした仕事が地方にもあるのか?と聞かれると「ある場合もあるが、ない可能性のほうが高い」と言わざるを得ません。
もちろん、地方と言っても福岡や札幌のような都会から限界集落ギリギリの田舎まであるので一概に言えませんが、東京ほど既存の仕事の選択肢は広いとは言えません。もちろん、地方には東京ではできない仕事も数多くありますが。
地方移住・Uターンを検討している人たちが仕事の壁にぶつかった時、2パターンの思考をする人がいます。一つは「地方の会社に就職した時、自分はどういう待遇になるのか?」と考える人。
もう一方は「自分がこれまで得てきたスキルや知見、人脈を活かせる仕事が地方にあるかどうか?」と考える人です。前者は自分を評価してくれる組織が地方にあるかどうかを重視し、後者は自分のスキル・能力を活かせるポジション(=チャンス)が地方にあるのかどうか。を考えています。この2つの考えは似ているようで雲泥の差なのです。
前者の「自分を(東京と同じくらい)評価してくれる組織があるかどうか」と思考する人に対して、地方の求人リストを渡すと確実に「給料低いですね…」と言われ、移住・Uターンには至りませんが、後者の「自分のスキル・能力をどうやったら活かせるか?」と思考する人は(たとえ給与が下がっても)相性のいい仕事を見つけられる可能性が高いですし、なかには起業しちゃったりします。
この2パターンの思考方法は極論すると「東京でしか働けない人」と「日本中どこでも働ける人」の思考の違いです。自分を評価してくれる組織を探し回る人は東京の企業を転職し続けるでしょうし、自分のスキル・能力を活かせるチャンスを探す人は東京でなくても好きな場所で働くことができます。
従来は地方にUターン、地方移住と言うと東京に疲れた人が地方に戻る、というある種負け犬感がありましたが、今は全く反対になっていて、東京でしか働けないので大きな企業で社畜(綺麗な言い方をすると企業戦士)をやるしかない人と、自分のスキル・能力を活かしてやりたい仕事を住みたい場所でできる人の二極化が生まれています。まさにライフプランの選択の幅の格差社会に突入しているのです。
最近、僕が住む宮崎県日南市にも移住者、Uターン者が増えているのですが、その多くは東京や海外などで培ったキャリアを活かした仕事を自ら作り出しています。
もちろん、既存の地場企業に就職することが多いのですが、その企業の中で新しい事業を作ったり、社内改革を行ったり、存分にこれまでの経験を活かした仕事をされています。
地方にある仕事にそのまま就職することしか考えない人と、地方にある仕事に自分のスキル・能力などを追加することでどういう新しい事業が生まれるのかを想像できる人との差はあまりにも大きいのです。
逆に言うと地方側は地方移住やUターンを検討する人がいた場合、その人が持っているスキル・能力を地域のどんな人や組織とつなげれば、どのような化学反応が起こるのかを想像できるコーディネーター的な役割をつとめる人が必要です。そのコーディネーターは地域の産業、企業、教育、医療、地域活動、など幅広いことを把握している必要があり、マッチングスキルも問われます。
移住やUターンを検討している人は地方の仕事に対してどっちのパターンの思考をしているのか、また地域側は移住希望者がいたとき、移住者のキャリアを活かせるマッチングを行う体制が整っているのかを確認してみることが、両者にとって幸せな移住を実現することにつながるのです。
(文=田鹿倫基・日南市マーケティング専門官)
※1「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」の結果概要について。首相官邸HPより
しかしながら少子化が進行し人手不足問題が深刻化する現代において、地方で仕事が見つからないことはほとんどありません。実際に有効求人倍率を見ても1を超えています。つまり、仕事がネックというのは額面通りに仕事があるかないか、ということではなく「自分が東京で培ってきたキャリアを継続、もっと言うと活かせる仕事があるのか?」ということなのです。
では東京でのキャリアを活かした仕事が地方にもあるのか?と聞かれると「ある場合もあるが、ない可能性のほうが高い」と言わざるを得ません。
もちろん、地方と言っても福岡や札幌のような都会から限界集落ギリギリの田舎まであるので一概に言えませんが、東京ほど既存の仕事の選択肢は広いとは言えません。もちろん、地方には東京ではできない仕事も数多くありますが。
移住希望者に見られる2つの思考パターン
地方移住・Uターンを検討している人たちが仕事の壁にぶつかった時、2パターンの思考をする人がいます。一つは「地方の会社に就職した時、自分はどういう待遇になるのか?」と考える人。
もう一方は「自分がこれまで得てきたスキルや知見、人脈を活かせる仕事が地方にあるかどうか?」と考える人です。前者は自分を評価してくれる組織が地方にあるかどうかを重視し、後者は自分のスキル・能力を活かせるポジション(=チャンス)が地方にあるのかどうか。を考えています。この2つの考えは似ているようで雲泥の差なのです。
前者の「自分を(東京と同じくらい)評価してくれる組織があるかどうか」と思考する人に対して、地方の求人リストを渡すと確実に「給料低いですね…」と言われ、移住・Uターンには至りませんが、後者の「自分のスキル・能力をどうやったら活かせるか?」と思考する人は(たとえ給与が下がっても)相性のいい仕事を見つけられる可能性が高いですし、なかには起業しちゃったりします。
この2パターンの思考方法は極論すると「東京でしか働けない人」と「日本中どこでも働ける人」の思考の違いです。自分を評価してくれる組織を探し回る人は東京の企業を転職し続けるでしょうし、自分のスキル・能力を活かせるチャンスを探す人は東京でなくても好きな場所で働くことができます。
地方にある仕事に自分のスキルを追加する
従来は地方にUターン、地方移住と言うと東京に疲れた人が地方に戻る、というある種負け犬感がありましたが、今は全く反対になっていて、東京でしか働けないので大きな企業で社畜(綺麗な言い方をすると企業戦士)をやるしかない人と、自分のスキル・能力を活かしてやりたい仕事を住みたい場所でできる人の二極化が生まれています。まさにライフプランの選択の幅の格差社会に突入しているのです。
最近、僕が住む宮崎県日南市にも移住者、Uターン者が増えているのですが、その多くは東京や海外などで培ったキャリアを活かした仕事を自ら作り出しています。
もちろん、既存の地場企業に就職することが多いのですが、その企業の中で新しい事業を作ったり、社内改革を行ったり、存分にこれまでの経験を活かした仕事をされています。
地方にある仕事にそのまま就職することしか考えない人と、地方にある仕事に自分のスキル・能力などを追加することでどういう新しい事業が生まれるのかを想像できる人との差はあまりにも大きいのです。
逆に言うと地方側は地方移住やUターンを検討する人がいた場合、その人が持っているスキル・能力を地域のどんな人や組織とつなげれば、どのような化学反応が起こるのかを想像できるコーディネーター的な役割をつとめる人が必要です。そのコーディネーターは地域の産業、企業、教育、医療、地域活動、など幅広いことを把握している必要があり、マッチングスキルも問われます。
移住やUターンを検討している人は地方の仕事に対してどっちのパターンの思考をしているのか、また地域側は移住希望者がいたとき、移住者のキャリアを活かせるマッチングを行う体制が整っているのかを確認してみることが、両者にとって幸せな移住を実現することにつながるのです。
(文=田鹿倫基・日南市マーケティング専門官)
※1「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」の結果概要について。首相官邸HPより