2017年の不祥事・謝罪を振り返る
神鋼、日産、三菱マテリアル、東レ…
大手企業の不祥事が相次いだ2017年。4つの「謝罪」を会見写真とともに振り返る。
神戸製鋼所によるアルミニウム、銅製品の検査データ改ざん問題が波紋を広げている。対象となる製品が納入された業界は自動車、鉄道、重工業と幅広く、製品・用途によっては大規模な対応が必要となりそうだ。こうしたメーカーが神戸製鋼所に賠償を求める可能性もあり、経営への影響が懸念される。頻発する企業不祥事について、日比谷パーク法律事務所代表弁護士の久保利英明氏に聞いた。
【イメージ固定化が最も恐ろしい】
日産自動車の2018年3月期の国内生産台数が、無資格の従業員が完成検査に携わっていた問題の影響で最大8万台程度減る見通しだ。従来は107万4000台を見込んでいたが、2年ぶりに100万台を割る可能性がある。販売への影響が長引けば、生産台数はさらに落ち込む恐れもある。
【10月後半から最長で11月8日まで全6工場で国内向け車両の生産・出荷を一時停止】
ー不祥事やコンプライアンス違反は2000代の雪印や三菱自動車はBツーCの問題でしたが、10年代後半は東洋ゴムや神戸製鋼、三菱マテリアルなどBツーBに広がっています。二重三重の対策がとられてきたはずです。
「法令違反や不正をすべて未然に防止することは不可能だ。上司が部下に仕事を任せる以上、必ず何らかの自由裁量を与える。そのすべてを監視することはできない。また不正をわかってやる確信犯は止められない。コンプライアンス違反や不正は大なり小なり彼方図存在しうる。つまりアウトプットで管理するよりもプロセスとして管理すべきだ。事故防止のヒヤリ・ハットのように早期発見、早期対応が望ましい」
【北海道大学教授・谷口勇仁氏に聞く】
東レは11月28日、タイヤ補強材を製造する子会社の東レハイブリッドコード(愛知県西尾市)で、製品検査データの改ざんがあったと発表した。コードと呼ぶナイロン繊維などを原料とする補強材で、顧客と取り決めた規格から外れた製品データの数値を不正に書き換えていた。期間は2008年4月―16年7月で書き換え件数は149件、出荷先は13社。新たな不正の発覚で、日本のモノづくりへの信頼がさらに揺らいだ。
同日開いた会見で日覚昭広社長は「関係者にご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くおわびする」と陳謝した。経営責任については「まずはこの件に決着をつける。強い倫理観を持った職場風土を作り上げたい」とし、進退の明言を避けた。
不正があったのはタイヤコード、自動車用ホース・ベルト用コード、抄紙用コードの3製品。当時の品質保証責任者が、検査成績書作成の承認段階で書き換えた。ただ、書き換えがあった製品の品質は規格内製品と実質的な差はなく、顧客からも安全上の問題があったという声は上がっていないとしている。
16年7月に東レハイブリッドコードが社内調査を実施し、判明した。日覚社長は16年10月に報告を受けた。発覚から1年以上が経過したことについて、日覚社長は「まずは顧客への説明、安全確認を優先した」と述べた。
再発防止策として品質管理体制の強化や業務手順の見直しなどを進めるとともに外部の有識者による調査委員会で原因究明を急ぐ。全社での確認を年度内にも終える方針だ。
タイヤ各社は東レ製素材の影響について調査を始めた。ブリヂストンはタイヤ、ホース、コンベヤベルトに使っているいずれの製品も性能に問題はない。横浜ゴムもタイヤの安全性を確認した。東洋ゴム工業と住友ゴム工業は現在調査している。
神鋼データ改ざん、日本の工業技術への信頼が失われる
神戸製鋼所によるアルミニウム、銅製品の検査データ改ざん問題が波紋を広げている。対象となる製品が納入された業界は自動車、鉄道、重工業と幅広く、製品・用途によっては大規模な対応が必要となりそうだ。こうしたメーカーが神戸製鋼所に賠償を求める可能性もあり、経営への影響が懸念される。頻発する企業不祥事について、日比谷パーク法律事務所代表弁護士の久保利英明氏に聞いた。
【イメージ固定化が最も恐ろしい】
日産の国内生産、今年度の計画が大幅下振れで100万台割れも
日産自動車の2018年3月期の国内生産台数が、無資格の従業員が完成検査に携わっていた問題の影響で最大8万台程度減る見通しだ。従来は107万4000台を見込んでいたが、2年ぶりに100万台を割る可能性がある。販売への影響が長引けば、生産台数はさらに落ち込む恐れもある。
【10月後半から最長で11月8日まで全6工場で国内向け車両の生産・出荷を一時停止】
品質不正、中間管理職に余裕を与えるために無駄な規則の廃止を
ー不祥事やコンプライアンス違反は2000代の雪印や三菱自動車はBツーCの問題でしたが、10年代後半は東洋ゴムや神戸製鋼、三菱マテリアルなどBツーBに広がっています。二重三重の対策がとられてきたはずです。
「法令違反や不正をすべて未然に防止することは不可能だ。上司が部下に仕事を任せる以上、必ず何らかの自由裁量を与える。そのすべてを監視することはできない。また不正をわかってやる確信犯は止められない。コンプライアンス違反や不正は大なり小なり彼方図存在しうる。つまりアウトプットで管理するよりもプロセスとして管理すべきだ。事故防止のヒヤリ・ハットのように早期発見、早期対応が望ましい」
【北海道大学教授・谷口勇仁氏に聞く】
東レもデータ改ざん タイヤ補強材、子会社で149件
東レは11月28日、タイヤ補強材を製造する子会社の東レハイブリッドコード(愛知県西尾市)で、製品検査データの改ざんがあったと発表した。コードと呼ぶナイロン繊維などを原料とする補強材で、顧客と取り決めた規格から外れた製品データの数値を不正に書き換えていた。期間は2008年4月―16年7月で書き換え件数は149件、出荷先は13社。新たな不正の発覚で、日本のモノづくりへの信頼がさらに揺らいだ。
同日開いた会見で日覚昭広社長は「関係者にご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くおわびする」と陳謝した。経営責任については「まずはこの件に決着をつける。強い倫理観を持った職場風土を作り上げたい」とし、進退の明言を避けた。
不正があったのはタイヤコード、自動車用ホース・ベルト用コード、抄紙用コードの3製品。当時の品質保証責任者が、検査成績書作成の承認段階で書き換えた。ただ、書き換えがあった製品の品質は規格内製品と実質的な差はなく、顧客からも安全上の問題があったという声は上がっていないとしている。
16年7月に東レハイブリッドコードが社内調査を実施し、判明した。日覚社長は16年10月に報告を受けた。発覚から1年以上が経過したことについて、日覚社長は「まずは顧客への説明、安全確認を優先した」と述べた。
再発防止策として品質管理体制の強化や業務手順の見直しなどを進めるとともに外部の有識者による調査委員会で原因究明を急ぐ。全社での確認を年度内にも終える方針だ。
タイヤ各社は東レ製素材の影響について調査を始めた。ブリヂストンはタイヤ、ホース、コンベヤベルトに使っているいずれの製品も性能に問題はない。横浜ゴムもタイヤの安全性を確認した。東洋ゴム工業と住友ゴム工業は現在調査している。
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