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NTT、スマホ決済で海外初進出 

来月にもベトナムで提供
NTT、スマホ決済で海外初進出 

世界的にキャッシュレス化の動きが進む

 NTTグループは2018年1月にも、ベトナムでスマートフォン決済サービスの提供を始める。ベトナム通信最大手のVNPTグループやネットスターズ(東京都中央区)と連携し、中国・騰訊(テンセント)の決済サービスを提供する。ベトナム政府が進めるキャッシュレス化や中国人など海外観光客誘致政策に対応する。NTTがスマホの2次元コード(QRコード)決済で海外に進出するのは初めて。

 NTT東日本のベトナム現地法人「NTTベトナム」(NTTV)などがテンセントの決済サービス「ウィーチャット・ペイメント」を飲食店やホテル、物産店などに提供する。決済にはベトナム語対応のアプリケーション(応用ソフト)を搭載したタブレットを使う。

 NTTVはサービス全体の仕組みをまとめるほか、VNPTグループとの合弁会社を通じ、加盟店拡大や決済システムの運用を担う。テンセントの総販売代理店であるネットスターズはシステム構築やシステム故障時のサポートを行う。加盟店への精算は、テンセントから金融ライセンスを受けるVNPT子会社が担う。

 ベトナムの中国人観光客は増加傾向にある。国連統計によると18年に430万人、19年に490万人と予測。スマホ普及率も7割を超え、中国・アリババや、地場銀行がスマホ決済を始めた。

 NTTグループの海外事業は通信インフラ構築や企業向け業務システムなどが主力。今後はキャッシュレス化の動きを捉え、スマホ決済ビジネスを強化する。スマホ決済関連はNTTドコモの英国子会社が携帯電話のコンテンツ課金システムを欧州の携帯電話会社に提供する程度にとどまる。
日刊工業新聞2017年12月26日
安東泰志
安東泰志 Ando Yasushi ニューホライズンキャピタル 会長
 日本ではFeliCa方式の電子マネー、または、おサイフケータイやApple Pay(日本仕様)などNFC方式が主流で、前者はICカードがあれば良いのでスマホ決済は進まない。後者も加盟店に専用の端末を設置しなければならない。これに対して中国で普及しているアリペイやウィーチャットは店舗にあるQRコードを読み取るだけで、同じ送金サービスのアカウントさえあればどんな店舗でも使える。今回のNTTの動きはベトナムにおける中国方式のインフラ整備に留まるが、日本は、これから訪日外国人が増えていく中、いつまでガラパゴスの決済システムに固執するのか。日本には中国型決済システムを運営するアリババやテンセントのような企業は育たないのか。彼らに支配されていくとビッグデータの収集で大きな差がつくことにもなる。国家戦略が必要だ。

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