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エプソンの大容量インクジェットプリンター、年間1000万台販売も視野に入った!

発売から7年、市場ニーズとらえる
エプソンの大容量インクジェットプリンター、年間1000万台販売も視野に入った!

低ランニングコストをアピール

 セイコーエプソンは、インクジェット(IJ)プリンターの戦略製品の大容量インクタンク搭載モデルの販売台数を、2018年度に前年度比20%増の900万台以上へ引き上げる。10年10月にインドネシアで発売して以来、年1000万台規模の販売が見えてきた。低ランニングコストを訴求し、新興国だけでなく先進国で販売拡大を狙う。

 17年度販売は10月に上方修正し、同27・9%増の780万台を計画する。18年度に20%増加すれば約940万台となる。エプソンは、大容量インクタンク搭載製品で、消耗品の販売で利益を得るプリンター特有のビジネスモデルの転換を図っている。「プリンターを買って、印刷を躊躇(ちゅうちょ)させる値段ではダメだ。環境性能やコストを訴求し、レーザープリンターから置き換えを目指す」(碓井稔社長)。

 広告は大容量タイプに集中するほか、使い勝手やデザインを改良して品ぞろえを増やした。今秋には、国内販売モデルを4から9に拡充した。小型化やインクの挿入しやすさ、デザイン性を改善した。欠点をなくす作業を続ける。海外では、さらに豊富なラインアップをそろえている。

 生産体制は、16年度にインドネシアで、17年度にフィリピンで組立工場を増設。国内ではプリンターヘッドの増産を進めている。「この3年の需要に対応するのに、十分な体制をつくった」(同)。また、インドネシアでは設計機能も充実させた。

日刊工業新聞2017年12月15日
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
2010年に大容量インクタンクモデルを発売して早7年。従来のインクではなく製品本体の購入で利益を稼ぐモデルだけに、ある程度普及してからの収益減が懸念されていたが、今も堅調は続いている。いかに市場ニーズをとらえた製品だったかを示しているのではないだろうか。同モデルを生み出した碓井社長も、就任から10年が経過しようとしている。まだ62歳で続投の可能性は高いと思うが、現在掲げる長期ビジョンの区切りとなる2025年には70歳。進退のタイミングと後継者を注視したい。

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