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【今週のリケジョ小町】将来のタネになる材料作りたい

日産化学工業株式会社 相馬 早紀さん
**ディスプレー向け液晶配向膜材料の改良
「想定通りにいかない大変さはありますが、お客さまのリクエストが難しいほど燃えます」−。日産化学工業の相馬早紀さん(27)は、材料科学研究所でディスプレー向け液晶配向膜に使う材料の改良に取り組む。研究所で実験に没頭することもあるが、ディスプレーメーカーや部材メーカーにも赴き積極的に“生の声”を吸い上げる。顧客の製品開発スケジュールにあわせ、求められた特性を持つ材料を仕上げる毎日だ。将来は、次世代の材料を探求・提案する仕事も思い描く。

直感的に『ここで働きたい』


「弘前大学大学院の理工学研究科物質創成化学コースで博士前期課程を修了しました。就職活動は専攻にこだわらず、企業との相性を重視。その中で日産化学工業に巡り合い、良い意味でフランクな社風を魅力に感じました。優れた技術を多く持つことにも引き込まれ、直感的に『ここで働きたい』と思ったのです」

「現在は液晶配向膜の材料を磨き上げ、いかにお客さまが求める特性を引き出すかを追求しています。すぐに期待通りの結果を出せればうれしいのですが、試行錯誤するのが普通。今も覚えているのは、入社2年目に直面した難題です。パネル上の現象を簡易的なセルで再現しないといけませんでした。まったくゴールが見えず途方に暮れました」

「この時はセルの構造だけでなく、評価手法も見直すほぼゼロからのスタート。当時の私の知識ではお手上げで、上司や先輩のアドバイスなしには克服できませんでした。提案した材料がそのまま試作に入るなどお客さまとの距離の近さも実感。モノを市場に送り出す大変さをあらためて学びました」

将来のタネを作り出すのが夢


「いずれは中長期の研究開発にも携わりたい。将来のタネを作り出すのが夢です。オフタイムでは先日、星野源さんのライブに行くという学生時代からの夢をかなえました。ドラマに使われた『恋』が有名ですが、『くだらないの中に』もオススメです」

     
日刊工業新聞2017年11月27日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
顧客の存在や距離感を実感しながら研究開発ができる環境は成長につながりそうです。

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