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【リケジョ小町】腱鞘炎になるくらい勉強

特許庁 伊佐地 公美さん
**農薬などの審査
理化学研究所(理研)から転じ、2014年に任期付職員(特許審査官補)として特許庁に入庁した農学博士の伊佐地公美(34)さん。審査第三部に所属し、農薬など有機化学分野の審査を担当する。「法律用語を覚えるのはとても大変でしたが、専門性を生かせる仕事。常に新しい発明に触れられ、文献を読むのも楽しい」。業務、待遇、休暇制度などは通常の職員と同じ。「個人で時間を組み立てられ、女性が働きやすい職場です」と充実した日々を送る。

腱鞘炎になるくらい勉強


「2011年に名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程を修了し、理化学研究所(理研)に就職しました。製薬会社を目指したのですが縁がなく、理研の単年度契約のテクニカルスタッフとして3年半勤めました。任期付き審査官の募集を見て、知的財産の世界に入りました」

「有機化学担当は約40人。約半分が女性です。家庭の都合に合わせて仕事でき、働きやすい職場です」

「特許審査がどのような仕事かまったく分かりませんでしたが、未経験者でも研修でたたき込んでもらえます。約2カ月にわたって毎週試験があり、落とせないという重圧の中、腱鞘(けんしょう)炎になるくらい勉強したことが印象に残っています」

出願人の立場で働く


「たくさんの文献を読み、論理的に考える仕事は楽しいですが、責任は重大です。必要以上に広い範囲に特許を与えると他者が不利益を被る。競争が激しい分野ほど慎重な判断を迫られます。10年の任期を終えたら弁理士の資格が取れるので、企業などの知財アドバイザーになりたい。審査官の意図をくみ、出願人の立場で働けたら良いですね」

「デスクワークで運動量が落ちたこともあり、週1回テニススクールに通い、休日は主人とスケートボードを楽しんでいます。趣味はカラオケ。自宅でも歌ったり、漫画を読んだりして気分転換しています」
   
日刊工業新聞2017年10月16日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
仕事をしながら常に新しいことにチャレンジし続ける姿がたくましいです。

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