デジカメ各社、販売計画を相次ぎ上方修正。ミラーレスで明暗も
中期的には市場縮小、強者が弱者を飲み込む
デジタルカメラ大手4社が2017年度の販売計画を相次ぎ上方修正した。16年度は熊本地震の影響でコンパクトカメラを中心に減産したが、17年度はその反動もあり、想定を上回る販売が続く。特に各社はミラーレス一眼カメラでの覇権を狙い、営業攻勢を強めている。全市場に占めるミラーレスの比率は徐々に上がり、ミラーレスに重点を置くメーカーの販売台数は先行して下げ止まり始めた。市場の底打ちを前に、ミラーレスを軸に生き残り競争が激化している。
デジタルカメラはミラーレスと一眼レフカメラを加えたレンズ交換式カメラと、コンパクトカメラの二つに大別される。これら2種類の17年度販売計画について、18年3月期決算のニコン、ソニー、富士フイルムの3社と17年12月期決算のキヤノンが上方修正した。このうちキヤノンやニコン、ソニーはコンパクトカメラを中心に想定を上回った。ただ「コンパクトカメラの上振れは地震の影響からの反動」(業界筋)といった側面もあり、再び停滞する可能性が高い。
一方、各社の16年度比の増減率を見ると、ミラーレスに重点を置くソニーと富士フイルムの2社は下げ止まり、前年度並みの販売を計画する。いずれ需要がしぼむコンパクトカメラに比べ、ミラーレスが重要なことは明らかだ。
こうした情勢を踏まえ、オリンパスは戦略的にコンパクトカメラの販売台数を減らす一方、ミラーレスの台数を16年度比8・9%増やす。キヤノンは17年に入り、ミラーレスの「EOS M6」や「同 M100」を相次いで発表。機種の拡充が販売を下支えする。
構造改革中のニコンは、先行きが見えにくい。一眼レフ「D850」の投入効果により、レンズ交換式の販売計画を上方修正したが、カメラ市場をけん引するミラーレスで出遅れている。映像事業を担当する御給伸好常務執行役員は「ミラーレスは無視できない市場」と語り、早い段階で新商品を投入し巻き返しを誓う。
各社はミラーレス市場でしのぎを削るが、問題はどのタイミングで、どんな商品を投入するかということ。すでに市場には高機能ミラーレスがあふれている。最近では、富士フイルムが中判サイズのイメージセンサーを搭載した「GFX」を、ソニーがプロ市場を狙う「α9」を投入。
オリンパスは旗艦モデルを進化させて「OM―D E―M1 マークII」を発売した。先頭集団を追撃するパナソニックは静止画の最高峰「G9プロ」を発表した。後発組のニコンはミラーレスでも表現力の高さにこだわる考えで「大きなセンサーには興味がある」(御給常務執行役員)と言及する。
一方、中堅メーカーのカシオ計算機やリコーはミラーレスを持たないため、大手の戦略とは一線を画し、より個性的なカメラを強化する。カシオは腕時計「G―ショック」のノウハウを基に、タフカメラの新ブランド「ジーズアイ」を立ち上げた。リコーは全天球カメラ「シータ」などに力を注ぐ。
(文=梶原洵子)
デジタルカメラはミラーレスと一眼レフカメラを加えたレンズ交換式カメラと、コンパクトカメラの二つに大別される。これら2種類の17年度販売計画について、18年3月期決算のニコン、ソニー、富士フイルムの3社と17年12月期決算のキヤノンが上方修正した。このうちキヤノンやニコン、ソニーはコンパクトカメラを中心に想定を上回った。ただ「コンパクトカメラの上振れは地震の影響からの反動」(業界筋)といった側面もあり、再び停滞する可能性が高い。
一方、各社の16年度比の増減率を見ると、ミラーレスに重点を置くソニーと富士フイルムの2社は下げ止まり、前年度並みの販売を計画する。いずれ需要がしぼむコンパクトカメラに比べ、ミラーレスが重要なことは明らかだ。
こうした情勢を踏まえ、オリンパスは戦略的にコンパクトカメラの販売台数を減らす一方、ミラーレスの台数を16年度比8・9%増やす。キヤノンは17年に入り、ミラーレスの「EOS M6」や「同 M100」を相次いで発表。機種の拡充が販売を下支えする。
構造改革中のニコンは、先行きが見えにくい。一眼レフ「D850」の投入効果により、レンズ交換式の販売計画を上方修正したが、カメラ市場をけん引するミラーレスで出遅れている。映像事業を担当する御給伸好常務執行役員は「ミラーレスは無視できない市場」と語り、早い段階で新商品を投入し巻き返しを誓う。
各社はミラーレス市場でしのぎを削るが、問題はどのタイミングで、どんな商品を投入するかということ。すでに市場には高機能ミラーレスがあふれている。最近では、富士フイルムが中判サイズのイメージセンサーを搭載した「GFX」を、ソニーがプロ市場を狙う「α9」を投入。
オリンパスは旗艦モデルを進化させて「OM―D E―M1 マークII」を発売した。先頭集団を追撃するパナソニックは静止画の最高峰「G9プロ」を発表した。後発組のニコンはミラーレスでも表現力の高さにこだわる考えで「大きなセンサーには興味がある」(御給常務執行役員)と言及する。
一方、中堅メーカーのカシオ計算機やリコーはミラーレスを持たないため、大手の戦略とは一線を画し、より個性的なカメラを強化する。カシオは腕時計「G―ショック」のノウハウを基に、タフカメラの新ブランド「ジーズアイ」を立ち上げた。リコーは全天球カメラ「シータ」などに力を注ぐ。
(文=梶原洵子)
日刊工業新聞2017年11月20日