ニュースイッチ

世界最大級の機械メーカー 米国東部へ進路をとった理由

アマダが新工場、欧州勢の強い地域に攻め入る
世界最大級の機械メーカー 米国東部へ進路をとった理由

2012年開業当時のカリフォルニアの工場

 【米シカゴ=六笠友和】アマダホールディングス(HD)は2019年までに、約100億円を投じて米国生産を拡大する。東部のノースカロライナ州と、カリフォルニア州に板金機械の新工場をそれぞれ建設する方向で最終調整に入った。ニューヨーク州の金型工場とカリフォルニア州の部品工場の能力増強も検討する。世界的な保護貿易の流れに、米国内向けの供給体制の拡充が不可欠だと判断した。21年度に北米売上高を現在比3割増の700億円に伸ばす。

 アマダHDは80年代初に、カリフォルニア州に米国初の生産拠点を設け、西海岸から東に向けて営業網を拡大してきた。欧州勢の強い東部での生産拠点新設は、同社の北米戦略の転換点になりそうだ。

 ノースカロライナ州に6万1000平方メートルの用地を購入し、19年末に工場を稼働させる方針。同社が米国東部に機械本体の工場を設けるのは初めて。

 カリフォルニア州では既存工場の隣接地を取得しており、既存工場と同規模の工場を建設する考えだ。これによりレーザー加工機の現地生産能力を現在比3割増にする。

 部品や金型の生産能力も増強する。カリフォルニア州の部品工場では機械設備を刷新し、生産効率と能力を高める。ニューヨーク州の板金加工用の金型工場も増強する意向だ。いずれもIoT(モノのインターネット)を活用した拠点にする。一連の措置で、カリフォルニアから東部に製品を輸送する費用や時間を削減し、競争力を高める。

 アマダHDの北米売上高は17年4―9月に前年同期比15%増だった。トランプ米大統領が導入を目指す法人減税などで継続的な成長が期待される。同社は21年度までの中期経営計画で連結売上高4000億円を目指しており、うち北米を同700億円に拡大する。
日刊工業新聞2017年11月08日
六笠友和
六笠友和 Mukasa Tomokazu 編集局経済部 編集委員
 アマダの米国進出は早く1971年に現法をつくり、81年には当時の主力機種の現地生産を始めています。今や米国最大手の1社です。西海岸からシカゴのある中西部に販売網を拡大していった経緯があります。今回の東部の本格開拓は、米国事業が次ステージに進んだことを明確に示し、ある意味米国事業の総仕上げといった印象です。 設備投資計画がまとまれば、2新工場の建設と2拠点の能力増強を同時進行させるという大事業になります。米国進出から約50年の蓄積があってこそ成し遂げられることでしょう。

編集部のおすすめ