ロードスター、車いすでも「ファン・トゥ・ドライブ」
自動車メーカーと障害者との新しい関係
マツダは、車いす利用者が運転しやすいよう手動運転装置を搭載した3車種を発売した。搭載車はスポーツ車「ロードスターRF」「ロードスター」、小型車「アクセラ」。左手でアクセルとブレーキを操作できるコントロールグリップや右手で変速できるステアリングシフトスイッチなどを装備した。価格はロードスターRFが338万5900円から、アクセラが同199万6900円から。
パラリンピックはスポーツとしての注目度が高まっているだけでなく国内モノづくりに与える影響も大きくなっている。とりわけ自動車業界。トヨタ自動車はパラリンピック支援をきっかけに自動運転開発を加速したと公言している。トヨタ以外にも競技用具を開発する動きが活発化している。2020年東京パラリンピックを控える中、障害者支援という観点が国内自動車産業の技術を一段上げる要素となりそうだ。
「パラリンピックこそトヨタの果たす役割がある」。豊田章男トヨタ社長は、こう強調する。トヨタは五輪の世界最高位スポンサーに続き、パラリンピックの世界最高位スポンサー契約を締結。豊田社長は「パラリンピックのスポンサーをするためにオリンピックのスポンサーをしているとも思う」というほどパラリンピックに対し熱い思いを抱く。
自動運転技術に対するトヨタの姿勢は、パラリンピックをきっかけに変化している。トヨタは20年ごろに自動車専用道路での自動運転車の実用化を目指しており、一般道に対応できる自動運転車も開発している。そんなトヨタも少し前までは自動運転と距離を置いていた。
「24時間レースで自動運転が人(の運転)に勝ったら、もう少し(開発を)進める」。豊田社長は以前、冗談交じりにこんなことも言っていた。
またパラリンピック選手や障害者にとっては福祉車両「ウェルキャブ」シリーズが最適なクルマと考えていたという。しかしパラリンピックに携わるようになり選手らの話を聞くと、そうした考えが「自分本位だった」(豊田社長)と気付くことになる。
「私たちもかっこいいスポーツカーに乗りたい」。障害者が本当に求めているのは、まさにトヨタがスローガンに掲げる「ファンツードライブ」そのもの。障害者に、そのファンツードライブを提供する方法こそ自動運転だった。
トヨタが自動運転の見方を変えたところにギル・プラット氏との出会いがあった。プラット氏はトヨタが米シリコンバレーに設立した人工知能(AI)研究拠点「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(TRI)の最高経営責任者(CEO)に就任。AIは自動運転の高度化に欠かせない。プラットCEOは障害者や高齢者を含めた「すべての人のためのモビリティーがトヨタのテーマ」と強調する。
「私がトヨタに入社し、豊田章男社長に初めて会ったとき、運転の楽しさを丁寧に話してくれた。私も運転が大好きで、素晴らしい考えだと思った。詳しくは話せないが、すべての技術を研究している ドライバーの状態を測ることはとても重要だ。だが簡単ではない」とプラット氏。
続けて「我々は自動運転について『ガーディアン』(守護天使、高度運転支援)と、『ショーファー』(お抱え運転手、完全自動運転)の二つを開発中だ。我々は人が運転スキルを失うほどのガーディアンを生み出したくないと思っている。我々のガーディアンシステムは、安全性を高めると同時に、ファントゥードライブも加速する。ユーザーエクスペリエンスのチームを設けて、ガーディアンシステムがセーフティーネットとなりつつも、運転手がガーディアンに依存しないように研究している。もちろん気を失うような状態であれば助けてくれる。ただし、はっきり申しておきたいのは、もし運転手がシステムに依存してしまえば力は衰えてしまうということだ」と話す。
市販車のスポーツカーシリーズを一新し、新ブランド「GR」を投入したトヨタ。会見に登場した豊田社長は「全ての人にファン・トゥ・ドライブを」と宣言。楽しさの象徴であるスポーツ車でそれを表現した。
パラリンピックで変わったトヨタ社長
パラリンピックはスポーツとしての注目度が高まっているだけでなく国内モノづくりに与える影響も大きくなっている。とりわけ自動車業界。トヨタ自動車はパラリンピック支援をきっかけに自動運転開発を加速したと公言している。トヨタ以外にも競技用具を開発する動きが活発化している。2020年東京パラリンピックを控える中、障害者支援という観点が国内自動車産業の技術を一段上げる要素となりそうだ。
「パラリンピックこそトヨタの果たす役割がある」。豊田章男トヨタ社長は、こう強調する。トヨタは五輪の世界最高位スポンサーに続き、パラリンピックの世界最高位スポンサー契約を締結。豊田社長は「パラリンピックのスポンサーをするためにオリンピックのスポンサーをしているとも思う」というほどパラリンピックに対し熱い思いを抱く。
自動運転技術に対するトヨタの姿勢は、パラリンピックをきっかけに変化している。トヨタは20年ごろに自動車専用道路での自動運転車の実用化を目指しており、一般道に対応できる自動運転車も開発している。そんなトヨタも少し前までは自動運転と距離を置いていた。
「24時間レースで自動運転が人(の運転)に勝ったら、もう少し(開発を)進める」。豊田社長は以前、冗談交じりにこんなことも言っていた。
またパラリンピック選手や障害者にとっては福祉車両「ウェルキャブ」シリーズが最適なクルマと考えていたという。しかしパラリンピックに携わるようになり選手らの話を聞くと、そうした考えが「自分本位だった」(豊田社長)と気付くことになる。
「私たちもかっこいいスポーツカーに乗りたい」。障害者が本当に求めているのは、まさにトヨタがスローガンに掲げる「ファンツードライブ」そのもの。障害者に、そのファンツードライブを提供する方法こそ自動運転だった。
トヨタが自動運転の見方を変えたところにギル・プラット氏との出会いがあった。プラット氏はトヨタが米シリコンバレーに設立した人工知能(AI)研究拠点「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(TRI)の最高経営責任者(CEO)に就任。AIは自動運転の高度化に欠かせない。プラットCEOは障害者や高齢者を含めた「すべての人のためのモビリティーがトヨタのテーマ」と強調する。
「私がトヨタに入社し、豊田章男社長に初めて会ったとき、運転の楽しさを丁寧に話してくれた。私も運転が大好きで、素晴らしい考えだと思った。詳しくは話せないが、すべての技術を研究している ドライバーの状態を測ることはとても重要だ。だが簡単ではない」とプラット氏。
続けて「我々は自動運転について『ガーディアン』(守護天使、高度運転支援)と、『ショーファー』(お抱え運転手、完全自動運転)の二つを開発中だ。我々は人が運転スキルを失うほどのガーディアンを生み出したくないと思っている。我々のガーディアンシステムは、安全性を高めると同時に、ファントゥードライブも加速する。ユーザーエクスペリエンスのチームを設けて、ガーディアンシステムがセーフティーネットとなりつつも、運転手がガーディアンに依存しないように研究している。もちろん気を失うような状態であれば助けてくれる。ただし、はっきり申しておきたいのは、もし運転手がシステムに依存してしまえば力は衰えてしまうということだ」と話す。
市販車のスポーツカーシリーズを一新し、新ブランド「GR」を投入したトヨタ。会見に登場した豊田社長は「全ての人にファン・トゥ・ドライブを」と宣言。楽しさの象徴であるスポーツ車でそれを表現した。
日刊工業新聞2017年9月26日の記事に加筆