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ヤマハ発と東大、傾斜していても真っすぐ走する電動車いす

 ヤマハ発動機は、横に傾斜した道でも真っすぐに走行できる機能などを搭載した電動アシスト車いすの新型「JWスウィング=写真」を東京大学などと共同開発した。車輪の回転速度を自動制御することで車いすの片流れを抑止する。片流れ制御機能を搭載した電動アシスト車いすは世界初という。発売は29日で、価格は36万3000円から。年間500台の販売を目指す。

 車いすは通常、道が横に傾いている場合、傾斜によるトルクが発生して、傾いた方向に曲がってしまう。

 今回搭載した片流れ制御は両輪のハンドルに伝わるこぐ力と、車いすの車輪の回転数などから計算した打ち消しトルクを発生させて、真っすぐ進むようにした。

 また、電動アシスト走行距離を使用者の身体の状態や使用環境に合わせて、微調整できるように改良。アシスト走行距離を従来モデル比で最小0・1倍から最大2倍で調整できる。

 片流れ制御機能を搭載の電動アシストユニット「JWX―2」を単体でも販売する。消費税込みの価格は35万3160円から。

 JWビジネス部の米光正典部長は「電動アシスト型車いす普及は進んでいない。利用を促すため、JWスウィングの価格を抑えた」と話した。
日刊工業新聞2017年9月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
羽田空港でAIなどを使ったサービスの実証実験が始まっている。ウィル(横浜市鶴見区)とパナソニックが共同開発中のロボット車いす「WHILL NEXT」は、スマートフォンで目的地を指示すると、自動で搭乗ゲートや店舗まで迷わず移動。周囲の障害物を検出して衝突しそうな時は自動停止する。家族やグループで複数台による隊列走行も可能だ。ウィルシリーズには普及価格帯の製品もあり、より幅広い利用に向けた取り組みも始まっている。 一方で、筑波大学の落合陽一助教は特別なハードウエアを使わずに既存技術を“ツギハギ”した電動車いすの開発に挑戦している。いろいろなアプローチから市場が開放されていけばいい。

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