炭素繊維の雲行きが怪しい…。FCVの水素タンクは新用途の一つに育つか
東レが来年から海外生産
東レは韓国と米国で、燃料電池車(FCV)に搭載する高圧水素タンク用の高強度炭素繊維を生産する。韓国では既存ラインの設備を改修し、2018年初頭に稼働する。米国では早ければ18年中にも設備投資に着手する。一連の投資額は約10億円。全体の年産能力は18年初に現在比約2倍、米国の増強後は同約4倍の5500トン規模になる見通し。強みの高強度炭素繊維を伸ばし、需要拡大に対応しつつ苦戦する一般産業向けを補う。
東レは現在、高圧水素タンク専用の高強度炭素繊維「T720S」を愛媛工場(愛媛県松前町)で生産し、トヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」などに供給する。生産能力は年1500トン規模とみられ、工場の操業度は高い。
まず韓国工場(ソウル市)に2系列ある産業用炭素繊維「T700S」の生産ラインのうち1系列で、原料繊維の巻き取り設備などを改修し、T720Sを製造する。生産能力は年間2000トン規模で、中国を含む東アジアの供給拠点とする。近く設備改修に着手する。
圧力容器などに加工する既存のT700Sは、アジアを中心とする新興メーカーの多くが同等品を開発し、販売攻勢をかけている。需要が限られる中で価格競争が激化し、採算が悪化する。東レは得意の付加価値品に生産を振り替え、利益を確保する狙いもある。
米国工場(アラバマ州)でも既存ラインの一部を改修し、T720Sの生産ラインを整備する。生産能力は同2000トン規模。高圧水素タンクの需要動向をみながら投資時期を判断するが、FCVの普及が本格化する20年以降をにらみ、18年中にも投資に踏み切る可能性がある。
FCVについてはトヨタが世界で20年以降に現在比10倍の年産3万台を計画するなど自動車メーカーが高い販売目標を掲げている。世界的に自動車の環境規制も高まっており、FCVの販売が増える余地は大きい。こうした動向をにらみ、東レは早期の供給体制拡充が必要と判断した。
東レは現在、高圧水素タンク専用の高強度炭素繊維「T720S」を愛媛工場(愛媛県松前町)で生産し、トヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」などに供給する。生産能力は年1500トン規模とみられ、工場の操業度は高い。
まず韓国工場(ソウル市)に2系列ある産業用炭素繊維「T700S」の生産ラインのうち1系列で、原料繊維の巻き取り設備などを改修し、T720Sを製造する。生産能力は年間2000トン規模で、中国を含む東アジアの供給拠点とする。近く設備改修に着手する。
圧力容器などに加工する既存のT700Sは、アジアを中心とする新興メーカーの多くが同等品を開発し、販売攻勢をかけている。需要が限られる中で価格競争が激化し、採算が悪化する。東レは得意の付加価値品に生産を振り替え、利益を確保する狙いもある。
米国工場(アラバマ州)でも既存ラインの一部を改修し、T720Sの生産ラインを整備する。生産能力は同2000トン規模。高圧水素タンクの需要動向をみながら投資時期を判断するが、FCVの普及が本格化する20年以降をにらみ、18年中にも投資に踏み切る可能性がある。
FCVについてはトヨタが世界で20年以降に現在比10倍の年産3万台を計画するなど自動車メーカーが高い販売目標を掲げている。世界的に自動車の環境規制も高まっており、FCVの販売が増える余地は大きい。こうした動向をにらみ、東レは早期の供給体制拡充が必要と判断した。