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不妊治療をビッグデータで支える 富士通、東大阪の三慧会と実証

 富士通と三慧会(東大阪市)は、効果的な不妊治療を目的とする診療支援システムの実証研究を9―12月に実施する。三慧会傘下の医療機関で過去に不妊治療を受け、研究協力に同意した約1000人の患者を対象にホルモン検査値や治療経過などのビッグデータ(大量データ)を分析。治療対象患者と類似する複数の過去患者のデータを抽出し効果を探る。

 実証研究には、富士通が開発した不妊症版類似症例検索システムを活用する。さらに、過去の患者に実施されたさまざまな治療ごとの効果を抽出し可視化することで、患者に行う治療や投薬の効果を予測する。

 不妊症版類似症例検索システムは、患者の治療過程の中で得られる診療データから、類似する過去患者を検索できる。それぞれの過去患者に対して実施された治療法と投与された薬の量ごとに採卵数や正常受精数、妊娠率などを可視化し治療効果を予測する。

 すでに不妊治療の結果が判明している過去患者の診療データを予測精度の検証用データとして活用。三慧会が不妊症の診療支援システムとしての有効性を検証する。

 不妊治療は長期間の治療となるケースが多いため、患者の身体的、経済的負担が大きい。一方、不妊治療は他の疾患と比べると歴史が浅く、豊富な臨床データに基づいた医療が十分に確立されていない。このため医師は自身の経験則に基づいて最適と考えられる治療法を判断せざるを得ないことが課題となっている。
日刊工業新聞2017年9月12日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
前例などのデータは治療を受ける側の心の支えにもなるように思います。

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