わずかでもWDより多く議決権を保有したい、東芝の深謀遠慮

メモリー売却に条件。出資維持と役員派遣求める

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東芝の綱川智社長(右)と東芝メモリの成毛康雄社長
 東芝が、半導体子会社「東芝メモリ」の売却について、出資維持と役員派遣を契約条件としていることが分かった。東芝メモリの経営への影響力を保ち、雇用や国内拠点を維持するのが狙い。出資額は1000億―2000億円を軸に検討する。一方、交渉相手の米ウエスタンデジタル(WD)も東芝メモリの議決権取得を求めている。両者ともに相手より議決権比率を高めたい考えで、協議は難航しそうだ。

 WDは政府系ファンドの産業革新機構や米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、日本政策投資銀行や複数の日本企業とともに「新日米連合」を形成。2兆円規模で東芝メモリを買収する計画。

 このうちWDは転換社債で1500億円規模を拠出する見込み。すべて普通株に転換すると15%程度の議決権を保有する見通しだ。東芝は「わずかでもWDより多く議決権を保有したい」(関係者)とし、1000億―2000億円規模の出資維持を計画する。

 また東芝は東芝メモリへの経営関与を深めるため役員を少なくとも1人派遣することも条件として提示する。出資維持と役員派遣について革新機構は了承している。

 新日米連合の出資スキームでは当面は日本勢が、東芝メモリの議決権の過半を握る。ただ、WDが将来、議決権を追加取得して経営への影響力を高める恐れもある。

 WDはメモリー工場の海外建設に興味を示しており、東芝メモリの雇用と日本国内の拠点維持を求める東芝は警戒している。

日刊工業新聞2017年8月30日

COMMENT

後藤信之
編集局第一産業部
デスク

 WDが社債を普通株に転換するスタート時の議決権比率は15%程度に留まる見込み。ただ3年後をめどとする東芝メモリの新規上場などのタイミングで「WDは議決権を追加取得する意向を示している」(関係者)という。将来の計画を含めWDが議決権を高める姿勢を崩さなければ、各国の当局の目は厳しくなる。審査では、将来の潜在的な議決権取得の意向を含めて計画を精査する。一般的にその議決権比率が20%を超えると審査は長期化する傾向にある。  東芝は上場廃止に直結する2期連続の債務超過を避けるため東芝メモリを18年3月末までに売却する計画。残り7カ月間という短期間で各国の審査をパスするには、スタート時の15%水準から20%水準を超えて議決権を増やさないことをWDに契約書に明記させるのが理想。だが東芝関係者は「一筋縄ではいかない」とみる。

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