実家で母は私に言った「あなたの居場所はここじゃない」
【小池百合子語る】私、東京都の「ポイント・オブ・ノーリターン」
物事には「ポイント・オブ・ノーリターン」がある。決して後戻りできない地点―。東京にとって、いや日本にとっても、それは2020年である。財政健全化をはじめ、国の施策目標の多くが20年を達成地点に定めているからだけではない。
東京の人口は25年をピークに減少に転じる。少子高齢化が経済成長の重荷となる人口オーナス期に突入する前、遅くとも20年までに手を打っておかなければ、社会的な影響は計り知れない。
団塊世代が後期高齢者となる25年にかけて毎年100万人規模が労働市場から消えていく。これが間もなく訪れる日本の姿である。
恐ろしい話で背筋が寒くなる。知事就任直後、真っ先に待機児童問題に着手したのは、今こそ新しい命を育まなければならないと考えたからだ。
私が目指す東京を、一言で表現すれば「サステイナブル」であること。少子高齢化や資源に乏しいといった制約や社会課題を、イノベーションや知的創造力によって克服し、誰もが希望とやりがいをもって暮らす都市。日本の成長エンジンとして世界の中で輝き続ける「新しい東京」を創造したい。
保護主義的な色彩を強め、不確実性を増す世界情勢も、東京にとってはチャンスだ。鳥の目をもって東京を見れば、熾烈(しれつ)な都市間競争を勝ち抜けるポテンシャルを十分備えている。
安全・安心や環境先進都市といった魅力を磨き上げ、世界中から人材や投資を呼び込むことで日本経済をけん引できる。
しかし、残念ながらこれまでの都政は、国内外のダイナミックな情勢変化に十分応えられるものとはいえなかった。財政的に豊かであったがゆえに、議会改革ひとつをとっても後れをとってきた。
だからこそ「東京大改革」なのである。一丁目一番地として打ち出した情報公開は、政策に透明性を根付かせ、新たな発想や手法を打ち出す原動力となる。車の両輪をなす都議会も刷新され改革を競い合う舞台は整った。
私にとっての東京の原風景は、都庁があるここ新宿かもしれない。留学先のエジプトから帰国し、関西の実家でのんびりしていたところ母はこう言った。「あなたの居場所はここじゃない」。勝手に新宿に住まいを見つけてきてしまった。
今も昔も東京は、チャンスを生み出すダイナミズムを秘めている。
東京の人口は25年をピークに減少に転じる。少子高齢化が経済成長の重荷となる人口オーナス期に突入する前、遅くとも20年までに手を打っておかなければ、社会的な影響は計り知れない。
団塊世代が後期高齢者となる25年にかけて毎年100万人規模が労働市場から消えていく。これが間もなく訪れる日本の姿である。
恐ろしい話で背筋が寒くなる。知事就任直後、真っ先に待機児童問題に着手したのは、今こそ新しい命を育まなければならないと考えたからだ。
私が目指す東京を、一言で表現すれば「サステイナブル」であること。少子高齢化や資源に乏しいといった制約や社会課題を、イノベーションや知的創造力によって克服し、誰もが希望とやりがいをもって暮らす都市。日本の成長エンジンとして世界の中で輝き続ける「新しい東京」を創造したい。
保護主義的な色彩を強め、不確実性を増す世界情勢も、東京にとってはチャンスだ。鳥の目をもって東京を見れば、熾烈(しれつ)な都市間競争を勝ち抜けるポテンシャルを十分備えている。
安全・安心や環境先進都市といった魅力を磨き上げ、世界中から人材や投資を呼び込むことで日本経済をけん引できる。
しかし、残念ながらこれまでの都政は、国内外のダイナミックな情勢変化に十分応えられるものとはいえなかった。財政的に豊かであったがゆえに、議会改革ひとつをとっても後れをとってきた。
だからこそ「東京大改革」なのである。一丁目一番地として打ち出した情報公開は、政策に透明性を根付かせ、新たな発想や手法を打ち出す原動力となる。車の両輪をなす都議会も刷新され改革を競い合う舞台は整った。
私にとっての東京の原風景は、都庁があるここ新宿かもしれない。留学先のエジプトから帰国し、関西の実家でのんびりしていたところ母はこう言った。「あなたの居場所はここじゃない」。勝手に新宿に住まいを見つけてきてしまった。
今も昔も東京は、チャンスを生み出すダイナミズムを秘めている。
日刊工業新聞2017年8月29日「広角」より