地元・秩父の安全を守り、おいしい酒を造りつづけるためにLPガスを導入

武甲酒造(埼玉県秩父市)

 埼玉県秩父市にて創業264年を迎える武甲酒造。「平成の名水百選」にも選ばれた敷地内に湧き出る天然水を使い、地元に愛される酒を造り続けている。定番の日本酒や焼酎、リキュールだけでなく、麹を使った食品や甘酒、地元の素材を使ったジャムなど幅広い商品を手掛ける。そのすべてを手作りしており、昔ながらの製法を守りつつ、新商品開発にも注力。
 近年増加している外国人観光客に対応するために秩父市で初めてタックスフリー化をするなど、伝統を守りながら、新しいものも積極的に取り入れるというバランス感覚を大事にしている。
同社が手掛ける商品と長谷川社長

 長谷川浩一社長は地元とともに歴史を刻んできた企業として、地元の安全を守る取組みを積極的に行ってきた。「非常時は地元のためにできることをする」という意志を強くしていったのが、各地で起きた災害だ。
 平成7年に発生した阪神淡路大震災の時、すぐに友人が経営する灘の酒造メーカーに安否の連絡をすると、「仕込み水を地元の人に供給している」という話をされた。当時は社長自身も地元の消防団で活動をしており、「秩父でもし震災が起きた時は率先して、地域住民に水の提供をしたい」と考え、平成9年に秩父市と災害指定井戸の協定を結んだ。
敷地内に湧き出る仕込み水の井戸

 さらに地震が起きた時に気がかりだったのが地下に埋めてあった重油タンクだ。もし地震が起きれば地下の重油タンクが破損し重油が漏えいする危険性がある。「地下の汚染は水を使う我々にとって一番怖いこと」(長谷川社長)。友人の酒造メーカーに話を聞いたり、県内の食品メーカーを視察したりと検討を重ね、LPガスへの燃料転換を決めた。都市ガスもあるものの、BCP対策の観点からLPガスを採用した。

 従来の重油ボイラは2台。酒米を蒸かす1t/hのものと、日本酒を瓶詰するときに菌を殺す「火入れ」などに使っていた750kg/hのもの。これをLPガスボイラ800kg/h2台に入れ替えた。運転状況によって2台をインバータ制御することで、必要な時に必要なだけのエネルギーを使えるようになった。
LPガスタンク(上)、LPガスボイラ(下)、ガス栓ボックス(右)

 LPガスに替えて一番効果を実感しているのは「メンテナンスが楽になったこと」だと長谷川社長は話す。「重油は燃焼する時にススも出るし、安全装置が付いているとはいえ、地下タンクから待ち受けタンクに重油を移すというリスクも大きかった」という。

 さらに、LPガスの消費量に比べて大きな貯蔵タンクを導入したこともポイントだ。「平成26年2月に秩父市でものすごい大雪があったんです。あちこちで道路が使えなくなり、緊急車両も思うように動けなくなりました。あの経験があったので、ある程度のスパンの燃料は確保したいと思い、大きいタンクを導入しました」(長谷川社長)。災害時にはLPガスボイラ導入時に同時に購入した「炊き出しセット」で地域住民に向けた炊き出しができるようになっている。湧水と酒米の貯蔵があるため、長期ライフライン停止時でも対応ができる。LPガスタンク設置場所の周囲も整備してスペースを取り、災害時に解放する以外にイベントなどで使用することも考えている。
 今後は停電のリスクも考慮し、LPガスの発電機も導入を検討している。

 顧客だけでなく、社員も全員地元秩父の在住者。日本酒は95%が地元で消費されるという、秩父とともに生きる同社。今後も企業活動の一環として地元に貢献する取組みを行っていく。
手造りで仕込まれる日本酒


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LPガスへの燃料転換のご案内
http://www.j-lpgas.gr.jp/nenten/index.html

LPガスへの燃料転換事例や削減効果シミュレーションプログラム等を掲載しており
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