キヤノン、ナノインプリント半導体装置を「東芝メモリ」に納入

宝の持ち腐れにならないよう、一刻も早く再建問題の進展を

 キヤノンは20日、ナノインプリント技術を使った半導体製造装置の量産モデルを、東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の四日市工場(三重県四日市市)に1機納入したと発表した。量産モデルを工場に納めるのは初めて。今後、東芝メモリと最終段階の開発を進める。ナノインプリント装置は、型を半導体ウエハーに押しつけて回路パターンを形成する。1回で微細な回路を描けるほか、装置価格も既存の先端露光装置と比べ安く、回路形成工程のコスト低減が期待されている。

 量産モデルの回路線幅は11ナノメートル(ナノは10億分の1)で、直径300ミリメートルウエハーを1時間当たり80枚加工可能。複数回の露光を繰り返して微細回路を形成するArF(フッ化アルゴン)液浸露光装置に比べ、コストを64%削減できるという。

 キヤノンは2004年にナノインプリント装置の研究開発に着手し、東芝は半導体メーカーとして協力してきた。
量産モデル

日刊工業新聞2017年7月21日

明 豊

明 豊
07月21日
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 ナノインプリント露光装置は、はんこを押すような要領で回路パターンを形成する。既存のフッ化アルゴン(ArF)液浸露光装置で2回必要になる処理が1回で済む。装置価格もArF液浸よりも大幅に安いため、東芝は製造コストを大幅に低減できるとみる。NANDメモリー市場はスマートフォン向けに、データセンター(DC)向け需要が加わり安定して伸びる見通し。ただコスト削減が競争力を左右するポイントになっており、東芝はナノインプリント露光装置の活用を模索していた。
 東芝とキヤノンは14年にナノインプリント露光装置の共同開発を開始した。キヤノンは16年からの5カ年経営計画で、ナノインプリント露光装置を注力する新規事業の一つに掲げている。ただ東芝メモリの売却手続きが遅れ、その間に業界トップのサムスンが投資を加速させている。いくらよい技術であっても事業スピード、それを決断するマネジメントがフラフラしているようでは宝の持ち腐れになる。

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