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小型機は民間航空機の需要減を救うか

パリ航空ショー閉幕、ボーイング「MAX」好調
小型機は民間航空機の需要減を救うか

米ボーイングは小型機の受注が好調だった(デモ飛行する737MAX9)

 フランスで開かれた航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」が25日閉幕し、米ボーイングと欧エアバスの受注実績は、2016年の航空宇宙産業展「ファンボロー国際航空ショー」(英国)を上回った。ボーイングは小型機「737MAX」の新機種「737MAX10」の開発を現地で発表。同機種の受注が寄与し、15年のパリ航空ショーの受注実績も上回った。ただ、14年をピークに航空機の受注は減少しており、その傾向が変わるかは不透明だ。

 ボーイングの受注は571機(748億ドル)で、16年の182機(268億ドル)を大幅に超え、15年の331機(502億ドル)も上回った。

 けん引役は新型のMAX10だ。航空会社が発注する機種を、737MAXシリーズの既存機種からMAX10へ変更した数は208機にも上る。

 インドネシアの格安航空会社(LCC)ライオンエア、中国の航空機リース会社チャイナエアクラフトリーシングからそれぞれ、737MAXシリーズを50機受注したのが大口案件だった。

 エアバスの受注は326機(397億ドル)で、279機(263億ドル)だった16年を超えたが、15年の421機(570億ドル)には及ばなかった。

 大口案件では、米GEの航空機リース子会社GEキャピタル・アビエーション・サービシズからの小型機「A320neo」シリーズ100機の受注があった。

 LCCの大量購入の一服や、原油安による燃料価格低下で燃費の良い新型機への買い替えが進まないことにより、大手2社の最近の受注は低迷している。そのため、今回の受注回復が本物かは不透明だ。

 ただ、両社はそもそも受注に一喜一憂する必要がない状況だ。ボーイングが約5700機(3月末時点)、欧エアバスが6705機(5月末時点)と大量の受注残を抱えており、増産による引き渡し能力増強のほうが課題となっている。
(文=パリ・戸村智幸)
日刊工業新聞2017年6月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
三菱航空機(愛知県豊山町)は航空ショーで初めて、開発中の国産小型ジェット旅客機「MRJ」を実機展示したが、受注はならなかった。同社は会期前から新規受注は難しいと表明しており、予想通りの結果となった。水谷久和社長が「実機展示が布石になって商談に発展する可能性はある」と期待するように、今後の受注活動につなげたいところだ。 (日刊工業新聞社名古屋支社・戸村智幸)

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