「ゴルフ」が消える日。高齢化するプレイヤー、減る接待…

<情報工場 「読学」のススメ#33>市場活性化へもう時間はない

 誰もが知っている「名選手」と呼ばれるアスリートが引退するとき、メディアでは「一つの時代が終わった」と比喩されることも多い。直近ではゴルフの宮里藍選手だろうか。5月26日に突然、今季限りの引退を表明した。2003年に18歳でプロに転向、2010年には11週にわたり世界ランキング第1位をキープするなど、文句なしの「名選手」である。

 ところが、ことゴルフに関しては「一つの時代が終わった」どころではないようだ。ゴルフというスポーツそのものが「終わった」状態になりかけている節がある。

 『ゴルフが消える日』(中公新書ラクレ)では、スポーツライターの赤坂厚さんが、「消滅」の危機に瀕した、ゴルフとその関連業界の現状をリポート。危機を脱し、人気を復活させるための具体的な提言を行っている。

 

 2014年3月に、日本プロゴルフ協会、日本ゴルフ場経営者協会、全日本ゴルフ練習場連盟の三者による「ゴルフ市場再生活性化に向けた新たな提案」と題する文書が公表されている。そこに掲載されているデータは「これほどまでか」と衝撃を受けるものだ。

 まず、ゴルフ人口は1994年の1200万人から、2012年には3割減の840万人に。ゴルフ場市場は1992年の1兆9610億円から2013年には9010億円に減っている。1兆円以上のダウンだ。さらに、ゴルフ練習場市場は3140億円(1993年)から1290億円(2013年)に、ゴルフ用品市場は6260億円(1991年)から3400億円(2013年)に激減している。


人気復活の足かせとなる「三大イメージ」


 ゴルフの一般的なイメージといえば「おじさんのスポーツ」「お金がかかる」「接待(ごますり、おべっか)」といったところだろうか。おそらく年代別に聞いても変わらないのではないか。少なくとも若者を引き寄せるイメージではないのは確かだ。

 ゴルフは「おじさんのスポーツ」であるがゆえに、少子化の煽りをもろに受けている。高齢者も続けられる生涯スポーツではあるが、若いプレイヤーがいなくなれば、競技人口は先細りだ。

 かつてゴルフ界では「2015年問題」がささやかれていたという。団塊の世代が2015年に65歳になり、定年退職して収入が減る。そうすると、それまでゴルフに費やしていたお金が使えなくなり、市場は縮小する。

 その延長で今問題視されているのは「2020年」。団塊の世代が、今度は70代に突入する。さすがに体力面からゴルフ人口はさらに減っていくことが予想される。

 2015年問題にも関わるが「お金がかかる」ゴルフは、景気が回復しきっていない経済状況の打撃を受ける。とくに若者など可処分所得の少ない人々には敷居の高いスポーツになっているのは否めない。

 「接待(ごますり、おべっか)」にゴルフを使うのは、バブル崩壊以降、確実に少なくなっている。しかし、だからといってそのイメージが払拭されたわけでもない。それに代わるイメージもなかなか浸透していないのが現状なのだ。

 ここで逆に考えてみたらどうだろう。この「ゴルフの三大イメージ」を一つひとつ引っ剥がしていけば、ゴルフ本来の魅力が表に出てくるのではないか。それをうまくアピールできれば「復活」は決して夢ではない。

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冨岡 桂子

冨岡 桂子
06月17日
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 ボウリングは1960~70年代のブーム後、ボウリング離れが進んだ。だが最近、復活の兆しを見せている。ブームを経験したシニア層にリタイア後の趣味として売り込んだことが功を奏しているとのことだが、小学生向けの大会を始め、将来の顧客層の育成も始めているようだ。そういった活動が行われているとは知らなかった。目立たなくても地味な取組みが復活には肝かもしれない。

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