廃棄物を電気に変えて購入するパシフィコ横浜の“地産地消”

価格以外に電力会社選びの基準が増えるか

 横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜、横浜市西区、鈴木隆社長)は、会議や展示会で発生する廃棄物で電気を作り、隣接する公園「臨港パーク」への供給を始めた。JFEエンジアリングのグループ2社が廃棄物処理と電力販売をセット提案して実現した。排出した廃棄物を電気に変えて購入する“地産地消”は、企業にも資源の有効利用として分かりやすい。電力会社を選ぶ際、価格以外の選択肢となりそうだ。

 パシフィコ横浜は会議棟や展示会場を備え、年間400万人以上が来場する。国際会議の開催が多く、7日までアジア開発銀行の年次総会も開かれた。臨港パークは横浜市所有の公園で、パシフィコが管理を代行する。

 JFE環境(横浜市鶴見区)がパシフィコや臨港パークから廃棄物を回収し、処理場で焼却して電気を作る。その電気をJFEエンジ子会社のアーバンエナジー(同)が調達し、臨港パークへ届ける。

 新電力のアーバンエナジーは廃棄物発電の電気を扱うが、廃棄物の発生施設と電力の購入施設が同じとなる地産地消は初めて。JFE環境パシフィコ横浜事業部の壽福雄司主任部員は「ゴミを徹底的に分別し、種類ごとに計量しているから実現できた」と評価する。

 パシフィコはペットボトル、紙など6種類のゴミ箱を設置している。不特定多数が来場する場所としては多い。ゴミ箱から回収後も10―20種に分ける。

 ほとんどは製品の材料に再生できるが、どうしても再利用できない廃棄物が出る。弁当容器など汚れが付いたプラスチック類や廃油だ。これらは焼却し、灰を路盤材などに再資源化していた。この焼却時に作ることができる電気を臨港パークが使う。パシフィコが2015年度、焼却処分した廃棄物は124トン。家庭100世帯分の年間消費量に相当する30万キロワット時の電力を生み出す。

 アーバンエナジーは廃棄物の処理量に応じて電気代を割引くメニューを用意し、電力コストは数%低減できる。パシフィコ営業サービス部の醍醐幸昇主任は「コストよりも、自分たちから出た廃棄物が電気として戻ってくる地産地消が分かりやすい」と採用の理由の一つを話す。

 12年のロンドン五輪・パラリンピックをきっかけに、国際的なイベントでは環境や社会への配慮が求められるようになった。廃棄物の電気利用は環境配慮として社外に伝えやすく、パシフィコはイベント主催者が会場を選ぶ基準の一つとなると期待する。

 工場やビルでも焼却処分する廃棄物が発生する。電力への変換は、処理方法の一つとして検討できそうだ。

記者ファシリテーター


 価格以外に、電力会社の選びの基準が増えてほしいです。ゼロエミッション達成でも、焼却処分に回る廃棄物(熱回収など)が出ます。多くの工場でゴミ由来電力の地産地消は活用できると思ったのですが、大工場になるほど東電の電気代が安いこともあって、導入しずらい(電気代で負ける)そうです。ゴミ由来電力を使う企業を世間が評価するようなれば、価格以外の価値が生まれるのでは。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2017年5月16日

松井 里奈

松井 里奈
05月17日
この記事のファシリテーター

多くのごみが出る展示会では、環境配慮を謳うことが必須課題になってきてもいるので、展示施設自体がこのような取り組みをしていると使い手側としても環境に配慮した展示会を打ち出しやすくなってよいかも知れない。

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