昭和電工、大分で12年ぶりエチレン増産。アジア需給逼迫

化学業界、プラント再編による縮小均衡が転換局面に

 昭和電工は2018年に大分コンビナート(大分市)のエチレンの年産能力を現状の69万5000トン(非定期修理年)から数千トン上積みし、70万トン前後に引き上げる。同社がエチレン設備の生産能力を増強するのは06年以来12年ぶり。

 三菱ケミカルと旭化成も17年5―6月に水島工場(岡山県倉敷市)で増強し、年産能力を現在比1万トン増の50万トン超に引き上げる計画。総合化学業界では供給過剰によるプラント再編が相次いだ縮小均衡から、需要に応じた健全な増産に転じつつある。

 昭和電工は18年春の定期修理時に、エチレンプラントの一部設備を改良して生産能力を高める。ここ数年は90―100%の高稼働率を維持しており、国内外の需要増への対応と設備余力の確保を目的に増強する。

 設備投資額は数億円と見られる。大分コンビナートは10年にプラントの分解炉を更新したが、生産能力は変えていなかった。製造したエチレンは全体の約75%を大分コンビナート内で他社を含めて消費し、残りの約25%をアジア地域へ輸出する。アジア市況は他社の設備トラブルなどで需給が逼迫しており、輸出も堅調だ。

 ただ、今後は輸出を抑えて、自家消費比率を高める方針。コンビナート内のグループ会社で汎用樹脂の高機能化を加速して、燃料タンクやバンパーなど自動車市場を中心に開拓し、外部環境に左右されにくい事業体制を目指す。

日刊工業新聞2017年4月13日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
04月17日
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エチレンは汎用樹脂の原料で、包装材や容器、家電製品などに広く使われる。11年頃から新興国で石油化学設備の新増設が相次いだため各社は生産再編に動いた。
しかし食品包装材の伸びや、自動車部品の樹脂化の進展などで、当初想定ほど内需が落ち込んでいない。石油化学工業協会によると2月までの国内エチレンプラントの平均稼働率は、損益分岐点の目安となる90%を39カ月連続で上回っている。
(日刊工業新聞第二産業部・鈴木岳志)

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