森永製菓の業績を急回復させた「ハイチュウ」は米国でなぜ人気に?

メジャーリーガーから口コミで。米国のソフトキャンディー市場に成長余地

 森永製菓はチョコレートやアイスクリームなどの流通洋菓子を幅広く手がける老舗の総合菓子メーカー。なお、安倍晋三首相夫人の昭恵氏は同社の創業家の出身である。

 業績は長年伸び悩んできたが、2014年3月期以降に急回復。16年3月期の営業利益は115億円と01年3月期以来となる過去最高営業利益を更新した。

 さらに、16年4―12月期の営業利益は前年同期比56%増の168億円と業績好調が続いている。

 業績好調の背景には主力商品群の売り上げ増、主力製品群への集中による生産効率の改善、商品規格の見直しなどが挙げられる。野村証券では、今期の営業利益は前期比52%増の174億円を予想する。収益性改善余地はまだ残されていると考える。

 森永製菓の業績をけん引しているのは「inゼリー」「チョコモナカジャンボ」「ハイチュウ」などのロングセラー商品である。さらに甘酒やココア、新商品「たべるマスクシールド乳酸菌タブレット」などの健康に関連した商品群の売り上げも好調に推移している。

 「inゼリー」はマーケティング手法の変更により改めてこの商品が持つ、即食性や機能性が認識され売り上げが好調に推移している。

 「ハイチュウ」は米国でも販売が好調である。元々はメジャーリーガーの田澤純一投手による口コミから広がり輸出で対応をしてきたが、高まる需要を受け15年より米国での生産を開始した。前期は配荷が遅れ気味であったが、今期からは成長軌道に乗った。

 米国ではソフトキャンディー市場は成長市場だが寡占度は低く、同社が成長できる余地はあろう。米国事業は19年3月期81億円の売り上げ、5億円の営業利益を予想し、国内に次ぐ第2の利益の柱になると予想する。

 森永乳業は森永製菓から独立する形で誕生した歴史的経緯がある。両社は2月24日に「経営統合に限らずさまざまな可能性について検討している」と発表したが、3月30日には「経営統合に限らずさまざまな可能性について検討してまいりましたが、選択肢の一つとしておりました経営統合については、現時点での検討を終了」すると発表した。

 両社の経営統合はシナジーが期待できる良い組み合わせと考えてきたため、残念ではある。一方で、両社は「両社の事業における協業のさまざまな可能性については、今後も引き続き検討」するとした。

 両社は既に原材料の調達やブランドの相互利用などで協業関係にあるが、研究開発などにさらなる余地があると考える。
(文=皆川良造 野村証券エクイティ・リサーチ部)

日刊工業新聞2017年4月5日

明 豊

明 豊
04月05日
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ハイチュウが米国でそんなに売れているとは知らなかった。ジャスティン・ビーバーが食べ始めたら世界中で売れるだろう。

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