東芝から独立する東芝機械の次期社長「共同研究は継続」

多すぎる自己株。株式交換のM&Aは考えず

 東芝機械が13日に正式発表したトップ交代は、東芝の巨額損失問題が引き金になった。海外事業の拡大に伴う企業統治体制の強化を模索していたところ、東芝問題でグループから独立する事態が発生。このため、飯村幸生社長が会長兼最高経営責任者(CEO)、三上高弘取締役常務執行役員が最高執行責任者(COO)に就く新経営体制に、早期に移行するのが適切だと判断した。

 飯村社長、三上取締役は同日、日刊工業新聞社の記者に会い、飯村社長は「(東芝問題がなければ)今の時期に会長職をつくった可能性は低い」と、一連の問題がトップ交代のきっかけになったことを明らかにした。同社は3日、1938年の創業以来初めて東芝グループから独立。「会社の立て付けをしっかり作る必要がある」(飯村社長)として、4月1日付でCEO、COO制を導入する。

 その上で、三上取締役は「独立した日本企業として、まずは18年度までの中期経営計画の達成を目指す」と、従来計画を踏襲する考えを示した。財務の健全性の目安となる自己資本比率は「55%以上ある」(飯村社長)と強調。東芝から買い戻した格好となる自己株は「多すぎる。来年度中に方向性を決めたい。株式交換のM&A(合併・買収)は考えにくい」(同)と明かした。

 また、射出成形機を中心に工作機械、ダイカストマシン、ロボット、半導体製造装置など多岐にわたる事業・製品のうち、「選択と集中の戦略で、車関連と違うものは外れる可能性がある」(同)と事業の一部再編を検討する。

 東芝とは今後、「金属3Dプリンター、ロボット、IoT(モノのインターネット)・ICTの共同研究は継続する」(同)方針であり、東芝が同社株を売却する際、2%を残した理由だとみる。15・1%を保有するニューフレアテクノロジー株については、「すぐに売ることは考えていない」と話した。

新社長の素顔


 東芝グループからの独立という、大転換点を迎えた。株主総会を待たず、4月1日付のトップ人事は同社としては異例だ。「社長就任の感想は『大変』のひと言。従業員、その家族、関係会社を含めると何万人という人と一緒に仕事をすることになるから」と、責任の重さを痛感する。

 理工学部卒ながら、入社以来、営業畑を歩んだ。販売比率が高い名古屋地区を担当し、大手を攻略。会長に就く飯村幸生社長は「卓越した営業力の人」と評する。「役員の中でも、仕事の修羅場をくぐり抜けた経験は多いはず。いかに製品を売り、信頼される営業マンになるかばかりを考えてきた」と、傷だらけでここまで来た。

 大事にしている言葉は「就任あいさつで最初に従業員に伝えたい」と“従業員ファースト”の姿勢。趣味は「仲間と杯を酌み交わすこと」だとか。人思いの性格。結束を強め、新生・東芝機械をつくる。
(文=六笠友和)

日刊工業新聞2017年3月14日

六笠 友和

六笠 友和
03月15日
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ニュースイッチで3月13日13時公開の「東芝が株式を売却する東芝機械、社長交代へ」の通り、東芝機械の社長に三上取締役が就任することになりました(同日15時発表)。会長職を38年ぶりに復活させ、2頭体制で東芝グループ離脱の難局を乗り切ることになります。

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