太陽光発電、動き出す“脱FIT型”ビジネス

国民負担を軽減、市場縮小の緩和なるか

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の大改正が1カ月後に迫ってきた。未着工の事業計画の取り消しや、売電価格を入札で決める制度が一部で導入される。ソーラーブームは去り、太陽光パネルがあれば売れた時代は終わる。太陽電池メーカーもビジネスモデルの変革を迫られる。改正は、政策に依存しない“ポストFIT”の始まりだ。

法改正で半分は「設備認定」取り消し!?


           

 4月1日施行の改正FIT法で「設備認定」の取り消しが始まる。政府から固定価格で電気を売れる設備認定を取得しながら、電力会社と接続契約を結んでいない事業計画が取り消し対象だ。

 これまで設備認定を受けた太陽光発電は原子力発電80基分の8000万キロワット。しかし稼働したのは3000万キロワットにとどまる。

 未稼働には、売電価格が高いうちに設備認定を受けた事業計画が多い。部材の価格下落まで着工を延ばしたり、高値での転売を狙っていたりと悪質なケースがあるとされ、FITの負の側面として批判されてきた。

 日本の太陽電池メーカー幹部の多くは、未稼働の5000万キロワットのうち取り消しは半分と見ている。取り消されなかった認定事業は着工が促される。

 太陽光発電の市場調査を手がける資源総合システム(東京都中央区)の一木修社長は「年500万キロワットの需要が5年続く」と分析。同社によると16年の太陽光パネル国内販売は860万キロワットだった。

 三菱電機の杉本年秀電材住設PV計画部長は「想定よりも全需の落ち込みが少なくなるのでは」と予想する。認定取り消しの動きが、市場縮小を緩やかにしそうだ。

 他にも「国民負担が明らかになる」(一木社長)と評価する声が多い。FITで電力会社が再生エネ発電所の電気を買い取る費用は、電気代に上乗せされる「賦課金」で賄っている。

 政府は15年、賦課金上昇による国民負担を抑制するため、30年までの太陽光発電の累計導入量を6400万キロワットが望ましいとした。

 売電価格が高い設備認定が取り消されると国民負担が減り、30年の導入見通しが増える可能性が出てくる。取り消しで消失する需要を心配するよりも、上方修正への期待が強い。
          

新たな入札制度、「市場価格」への転換


 新たに始まる入札制度は、発電所を新設する発電事業者が売電価格を提示し、電力会社が安い電気を選んで購入する。政府が価格を決める方式から「市場価格」への転換だ。

 17年度の対象は2000キロワット以上の大規模太陽光発電所(メガソーラー)。上限価格の1キロワット時21円(消費税抜き)よりも落札額は下がる。

 21円はFIT開始当初の売電価格の約半分。建設費を圧縮できなければ運転後の収益確保が難しくなるため、メガソーラーの新設に慎重な発電事業者が多い。太陽光パネルにはコスト低減圧力が強まる。今のところ海外の太陽電池メーカーが、コスト競争に自信をみせている。

自家消費がお得になる


 2000キロワット未満の新規発電所は、政府が売電価格を決める方式が継続される。17年度中に認定を受けると21円が適用される。

 京セラの池田一郎ソーラーエネルギーマーケティング部長は「売るよりも使う方が経済的になる時期が来そうだ」と話す。工場やビルの一般的な業務用電力の購入価格は1キロワット時15―20円。いずれ21円を超えると、FIT制度で発電した電気を21円で売る魅力が薄れ、逆に社内で使う自家消費がお得になる。

 工場やビルなら電力使用が増えると時間と太陽パネルの発電の時間帯が重なる。太陽光の電気を余すことなく使えるので蓄電池を置く必要がない。現時点では売電が経済的だが自家消費も提案できれば事業の幅が広がる。
太陽光パネルにはコスト低減圧力が強まる(イメージ)


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日刊工業新聞2017年3月1日「深層断面」

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松木 喬

松木 喬
03月02日
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改正FITは、これまでの課題をうまく修正したと言えそうです。太陽光の市場は急激に縮小せず、軟着陸に向かいます。ただ、うまく着陸できるかはメーカー次第。ちなみに太陽電池メーカーが蓄電池やHEMSなど他の設備を一緒に提案するのは日本だけ。海外ではシステムインテグレ-ターが機器をまとめて提案する文化だそうです。

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