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日立のIoTを引っ張る顔、顔、顔…
まるっと早わかり、プラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」って何?
テレビコマーシャルで映し出される「日立の樹」は、総合力と成長性、事業の幅広さを表している。
日立製作所が昨年発表したIoTのプラットフォーム(基盤)「Lumada(ルマーダ)」。何か最新のシステムを作り上げたかのように思うかもしれないが、実はそうではない。
分かりやすくいうと、日立がこれまでさまざまな顧客や事業に対して提供してきた技術や製品、ノウハウを一つに体系化したデジタル時代のビジネス版「日立の樹」である。
もう少し特徴を見ていこう。Lumadaの専用サイトを開くと、説明の書き出しに、「日立のOTとITの実績を凝縮した…」とある。注目すべきは、ITではなくOTが先にきている点だろう。Lumadaの性格とビジネスモデルがそこにも凝縮されている。
では「OT(オペレーショナルテクノロジー)」とは何か。電力設備や製鉄プラント、大規模な鉄道の運行システムなどを動かす、事業の運用技術だ。日立は創業以来、インフラ分野で人知れずOTを磨き、社会に貢献してきた企業だ。
ITは大量のデータを「見える化」し業務フローを改善するソフトウエアとインターネット技術であるのに対し、OTはモノの流れや設備の自動化を可能にする「人の見える化」である。
モノとモノ、デバイスとデバイスがインターネットでつながる「IoT」の世界は、ITの得意領域だと思われがちだがそう単純ではない。人が介在するたくさんの業界のOTの知識やデータがなければ新しい価値を生み出せない。
東原敏昭社長は、OTの拠点である大みか事業所(茨城県日立市)の出身。かつてはプラントエンジニアリング子会社の社長を務めるなど、技術営業として常に顧客と最前線で向き合ってきた。LumadaはIT起点ではなく、東原社長の原体験も反映した、インテグレーション(ノウハウや機能を統合する)をとても重視したビジネスツールといえる。
現状の基本機能は買収した米国企業のビッグデータ解析と独自開発した人工知能が中心になっている。そして、かつての日立といえば何かと自前主義だったが、今回はオープンで汎用性の高いアーキテクチャー(設計思想)になっていることも見逃せない。
日立のLumadaはまず既存顧客の資産を大切にしながら、デジタルエコノミー時代の課題解決プログラムを提案しているのが特徴。だから顧客の使い勝手もよい。背伸びせず、日立の持つ強みを最大限に引き出したとてもよく考えられた戦略だろう。
そしてLumadaのキーワードに“協創”という言葉が出てくる。顧客と一緒に経営課題の解決に取り組む事例が増えれば増えるほど、基盤としての魅力も高まる。各事業での協創は当然、人が作り出すもの。そして分析データを活用しイノベーションを起こすには、複合的なソリューションが欠かせない。
後に紹介するが、今回、ビジネスごとに配置した「Chief Lumada Officer(チーフルマーダオフィサー)」は、社内外の複合的な問題を解く、そして説く重要なけん引役である。
Lumadaは社内イノベーション実装も担っている。開発部隊の拠点は米国サンタクララ。東原社長は「常にLumadaを描きながら改革を進める」と話し、その領域はいずれ管理部門にも波及してくるだろう。
これから産業用IoTの大きな競争軸は、単なるデータの蓄積量ではなく、流通量、参照量を使ったサービスを生み出せるかどうか。工場のリードタイムが1ケタ変われば、その産業のビジネスモデルは劇的に変わる。例えば、自動車の新車投入サイクルが月単位になる日が来るかもしれない。
いかに顧客に対し産業革命に向けたアイデアと実現可能性、システム環境を迅速に提供できるか。当然、それは1社のプラットフォームでは難しい。Lumadaはオープンで拡張性の高さを生かしていく必要がある。日立の既存ビジネスの強化という役割から、次のステップに踏み出す進化に期待したい。
日立は2月1日、「Lumada」の推進担当者を各事業部に配置した。IT関連事業のサービス&プラットフォームビジネスユニット(BU)を除く電力、ビルシステム、鉄道などのBUに一名ずつ配置された彼らは「Chief Lumada Officer(チーフルマーダオフィサー、以下CLO)」と命名された。業務改善や事業部間の連携を通じたソリューション事業拡大に向けたリーダー役を担う。
【原子力ビジネスユニット 佐藤 深一郎氏】
○専門分野 プロジェクトマネジメント
○過去の主な実績 国内原子力発電所の日立納入設備に対する保守作業(点検・修理工事・予防保全工事)に関するプロジェクトマネジメント業務を実施。
○2030年にLumadaでどのような社会を作りたいか 原子力発電所の安全・安定運転を行うための保守作業などの取り組みについて効果的・効率的に実施されていることが、例えば、発電所の運転状態をリアルタイムで分析・診断するなどLumadaを適用することで一般の方々に分かりやすく情報提供し、理解頂けるようになればと考えています。
○IoTの本質とは 情報の限定から拡散の流れを作ったインターネットであるが、氾濫する情報の中で価値のある情報を見出したり、価値のある情報を作り出すこと。
○最近はまっていること インターネットでの買い物で、類似商品の比較や購入者の意見を見て考えるのが楽しいのですが、情報がありすぎて選択に迷うこともあります。
日立の 社会イノベーション事業ポータルサイトではより詳しい情報がご覧いただけます。>
<次のページ、まだまだ続くChief Lumada Officer>
日立製作所が昨年発表したIoTのプラットフォーム(基盤)「Lumada(ルマーダ)」。何か最新のシステムを作り上げたかのように思うかもしれないが、実はそうではない。
分かりやすくいうと、日立がこれまでさまざまな顧客や事業に対して提供してきた技術や製品、ノウハウを一つに体系化したデジタル時代のビジネス版「日立の樹」である。
ITより先にOTがある意味
もう少し特徴を見ていこう。Lumadaの専用サイトを開くと、説明の書き出しに、「日立のOTとITの実績を凝縮した…」とある。注目すべきは、ITではなくOTが先にきている点だろう。Lumadaの性格とビジネスモデルがそこにも凝縮されている。
では「OT(オペレーショナルテクノロジー)」とは何か。電力設備や製鉄プラント、大規模な鉄道の運行システムなどを動かす、事業の運用技術だ。日立は創業以来、インフラ分野で人知れずOTを磨き、社会に貢献してきた企業だ。
ITは大量のデータを「見える化」し業務フローを改善するソフトウエアとインターネット技術であるのに対し、OTはモノの流れや設備の自動化を可能にする「人の見える化」である。
モノとモノ、デバイスとデバイスがインターネットでつながる「IoT」の世界は、ITの得意領域だと思われがちだがそう単純ではない。人が介在するたくさんの業界のOTの知識やデータがなければ新しい価値を生み出せない。
東原敏昭社長は、OTの拠点である大みか事業所(茨城県日立市)の出身。かつてはプラントエンジニアリング子会社の社長を務めるなど、技術営業として常に顧客と最前線で向き合ってきた。LumadaはIT起点ではなく、東原社長の原体験も反映した、インテグレーション(ノウハウや機能を統合する)をとても重視したビジネスツールといえる。
現状の基本機能は買収した米国企業のビッグデータ解析と独自開発した人工知能が中心になっている。そして、かつての日立といえば何かと自前主義だったが、今回はオープンで汎用性の高いアーキテクチャー(設計思想)になっていることも見逃せない。
顧客の資産を生かし、一緒に課題解決に取り組む
日立のLumadaはまず既存顧客の資産を大切にしながら、デジタルエコノミー時代の課題解決プログラムを提案しているのが特徴。だから顧客の使い勝手もよい。背伸びせず、日立の持つ強みを最大限に引き出したとてもよく考えられた戦略だろう。
そしてLumadaのキーワードに“協創”という言葉が出てくる。顧客と一緒に経営課題の解決に取り組む事例が増えれば増えるほど、基盤としての魅力も高まる。各事業での協創は当然、人が作り出すもの。そして分析データを活用しイノベーションを起こすには、複合的なソリューションが欠かせない。
後に紹介するが、今回、ビジネスごとに配置した「Chief Lumada Officer(チーフルマーダオフィサー)」は、社内外の複合的な問題を解く、そして説く重要なけん引役である。
Lumadaは社内イノベーション実装も担っている。開発部隊の拠点は米国サンタクララ。東原社長は「常にLumadaを描きながら改革を進める」と話し、その領域はいずれ管理部門にも波及してくるだろう。
これからも進化
これから産業用IoTの大きな競争軸は、単なるデータの蓄積量ではなく、流通量、参照量を使ったサービスを生み出せるかどうか。工場のリードタイムが1ケタ変われば、その産業のビジネスモデルは劇的に変わる。例えば、自動車の新車投入サイクルが月単位になる日が来るかもしれない。
いかに顧客に対し産業革命に向けたアイデアと実現可能性、システム環境を迅速に提供できるか。当然、それは1社のプラットフォームでは難しい。Lumadaはオープンで拡張性の高さを生かしていく必要がある。日立の既存ビジネスの強化という役割から、次のステップに踏み出す進化に期待したい。
Lumadaのことは「専門家軍団」にお任せ
日立は2月1日、「Lumada」の推進担当者を各事業部に配置した。IT関連事業のサービス&プラットフォームビジネスユニット(BU)を除く電力、ビルシステム、鉄道などのBUに一名ずつ配置された彼らは「Chief Lumada Officer(チーフルマーダオフィサー、以下CLO)」と命名された。業務改善や事業部間の連携を通じたソリューション事業拡大に向けたリーダー役を担う。
【原子力ビジネスユニット 佐藤 深一郎氏】
○専門分野 プロジェクトマネジメント
○過去の主な実績 国内原子力発電所の日立納入設備に対する保守作業(点検・修理工事・予防保全工事)に関するプロジェクトマネジメント業務を実施。
○2030年にLumadaでどのような社会を作りたいか 原子力発電所の安全・安定運転を行うための保守作業などの取り組みについて効果的・効率的に実施されていることが、例えば、発電所の運転状態をリアルタイムで分析・診断するなどLumadaを適用することで一般の方々に分かりやすく情報提供し、理解頂けるようになればと考えています。
○IoTの本質とは 情報の限定から拡散の流れを作ったインターネットであるが、氾濫する情報の中で価値のある情報を見出したり、価値のある情報を作り出すこと。
○最近はまっていること インターネットでの買い物で、類似商品の比較や購入者の意見を見て考えるのが楽しいのですが、情報がありすぎて選択に迷うこともあります。
<次のページ、まだまだ続くChief Lumada Officer>
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