世界で加速する高速炉開発。どうなる日本の“ポストもんじゅ”

日本はフランスと共同で実証炉、費用負担などで課題多く

 世界的なエネルギー不足を解消すべく、各国で高速炉の研究開発が加速している。特にロシアや中国、インドは約10年後のナトリウム高速冷却炉の実用化を明言するなど、鼻息は荒い。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)をほとんど稼働できなかった日本も、実証炉の開発に乗り出す方針を決めた。実証炉については既にフランスとの共同研究も始まった一方で、建設費の分担などで課題もある。

 高速炉は、エネルギー値の高い(速度の速い)「高速中性子」による核分裂反応を利用する原子炉で、2030年代ごろに導入可能な「第4世代原子炉」に位置づけられる。

 主にウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX燃料)を使用し、放射性廃棄物の量を減らせたり、ウラン資源の有効利用などのメリットがある。ただ、一般的な既存の軽水炉と違って冷却剤にナトリウムを使うことが想定されるなど、技術的な課題も多い。

 高速炉の開発は4段階に分けて進む。基礎的な研究の「実験炉」、運転・保守技術の蓄積などが目的の「原型炉」、経済性の見通しなどを検証する「実証炉」、安全性と経済性を両立する「商用炉」の四つだ。

 開発自体は60年代以降、米国、ロシア、フランス、イギリス、ドイツで始まった。開発を中断した国もある一方、中国やインドなどは他国の技術を導入して新たに参入した。
                


中国、韓国は研究開発を活溌化


 米国は、多くの実験炉の開発・運転経験を持つ。核不拡散政策の変更で77年に原型炉の建設を無期延期したが、研究開発は継続中だ。

 英国は、実験炉・原型炉の運転経験があるが、北海油田の発見などを背景に計画を中止。ただし、将来的には高速炉サイクルへの移行が必要としている。

 ドイツは実験炉の運転経験があるが、原型炉の建設中に、政策議論や財政難のため計画が中止。韓国は活発に研究開発をしており、2028年に原型炉の建設を予定する。

 日本と実証炉の共同開発に取り組むフランスは、67―83年に実験炉「ラプソディー」を、73―09年に原型炉「フェニックス」、85―98年に実証炉「スーパーフェニックス」を稼働させた。高速炉について豊富な開発・運転経験を持つ。

 高速炉の研究で一躍躍り出たのは国を挙げて原発の研究開発に取り組む中国。ロシアからの技術導入で実験炉を10年に初臨界させた後は、原型炉の段階を飛ばし、次の実証炉を25年ごろに稼働させる目標を掲げる。

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日刊工業新聞2017年1月6日

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日刊工業新聞 記者

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01月08日
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日本の実証炉開発については「もう一度、原型炉を作り直すべきでは」(日本原子力学会の藤田玲子元会長)と、原型炉を満足に稼働させられなかった反省を踏まえた慎重な判断を求める意見もある。
(日刊工業新聞科学技術部・福沢尚季)

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