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味付け数の子のパイオニア、次なる挑戦 コスト・環境の両面を解決するLPガスボイラ

丸本本間水産
 札幌の中心に工場を構える丸本本間水産。1967年12月の丸本本間商店としての創業から、北海道の水産加工業をけん引するほか、新たな転換期も迎えている。

味付け数の子を全国で初めて生産


 同社は水産物の加工製造業や卸売業として、味付け数の子や鮭とばなどの製造・販売を手がける。味付け数の子を全国で初めて生産・販売した先駆け的存在だ。商品は全国の量販店などにも展開し、年商約15億円のうち主力の味付け数の子は約10億円を占める。売上高の比率は道内が約10%、道外が約90%。鮭とばなども含めて北海道の水産加工品を代表する企業としても存在感をみせる。


<鮭とば生産現場>

 塩数の子は高級な食品として贈答品に使われていた。丸本本間水産は、ポリポリとした食感の高価なアラスカ・西カナダの太平洋産でなく、サクサクした食感の安価な東カナダ大西洋産の数の子原料を味付けして汎用価格で販売して利益をあげた。
 だが、安価な東カナダ産数の子原料の供給量減少と新規参入の増加により、東カナダ産数の子原料価格は1キロ600円が1200円以上にまで上昇していった。高価だった太平洋産と安価だった大西洋産の数の子原料の価格差が縮まったほか、塩数の子消費量の減少で製品価格低下も続くなど市場も変化していった。

 丸本本間水産では、味付けなどで数の子に付加価値をつけ、鮭とばでも道産の秋鮭にこだわるなど差別化を図っているが、業界全体では苦労している水産加工会社も少なくない。雇用環境としても就労者不足や賃金・費用も上昇していくようになり、機械化などの企業努力を重ねてコスト削減に励むが、根本的な課題の解決にはつながっていない。
 業界も大きな環境の変化を迎える中で、丸本本間水産としても転換点にさしかかっていた。2014年7月に阪和興業に譲渡され、グループ会社の一員に加わった。阪和興業は丸本本間水産に原料を販売していた関係もきっかけとなった。現在の野田社長は阪和興業から就任し、丸本本間水産にとって実質的な「2代目」となる。


<野田社長>

 野田社長は「これまで当社は、オーナー同族経営だったが上場会社の子会社となった。経営を本社基準に合わせるなどこれまでの規定も整備しなくてはならない」と気を引き締める。周囲の住環境などにも影響してくる環境への意識も変えなくてはいけない。「工場から臭気・騒音等が出ているようでは市街地では共存できない」(野田社長)。最近では、取引先も環境を壊してまで生産する商品は買わなくなっている。そのために大手企業は工場を調査しに来るほどだ。

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