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IoTの最前線で何が起こっているのか。最もエキサイティングな時代を勝ち抜く条件
先進事例を概念化し自社のビジネスにつなぐ
モノのインターネット(IoT)への世間の関心が急速に高まっている。中には「モノ同士がインターネットでつながることで、インターネット以上に世界が変わる」と予測する専門家さえいる。ビッグデータや人工知能(AI)とIoTは一見関係ないようで、実はすべてが関連している。モノがネットにつながるといろんなデータが集まってくる。AIの新しい手法に大量のデータが投入されることによって、AIやディープラーニング(深層学習)がさらに進展する好循環が起きている。しかし日本企業は必ずしもその好機を生かし切れていない。特に日本の強みである製造業は、IoTの普及で工業化されたサービスに近づいていく。ビジネス、技術の最前線を紹介する。
2020年には500億もの「モノ」がインターネットに接続されると言われている。コンシューマーアプリが世の中を便利に変え、大量の経済的価値を生みだした。今後、世界経済の成長エンジンを果たすのが産業分野で、インフラ投資は15年以内に60兆ドルを超すと見込まれている。
そして、IoTやAIでイノベーションが起きるのは製造業だ。ところが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)とアクセンチュアが行ったインダストリアル・インターネットに対する意識調査で、 「データを基にしたオペレーションの最適化ができている」と自己評価した企業は36%。そして「すでにビッグデータ活用の戦略を固めた」 と答えた企業はわずか5%という結果が出た。
日本ではERP(統合業務システム)などのビジネスアプリケーションを活用する企業も多く、経営や生産の効率化に長けているイメージがある。その事実がビッグデータ時代の初動を遅らせてしまう可能性がある。大きな変革に対応できなければ、競合に市場シェアを奪われ、製品やサービスの価格を下げざるを得なくなるだろう。
品質、コスト、生産の管理のためにITシステムを導入している企業が多い日本では “データ活用の準備が出来ている“ と思い込んでしまっている。しかし実際に製造現場を見てみると、スプレッド・シートや電子メール、紙の伝票を使うシーンが残っている。連続的なデジタル処理の流れが業務プロセスに対応していないケースも多い。つまり、OT(オペレーショナル・テクノロジー)として機能していないのだ。
例えば、IoTの普及により工場自動化(FA)システムのオープン化、標準化が進めば、日本が強い産業機器・FA業界は大きな影響を受けるだろう。 FA業界はこれまで、信頼性という高い壁に守られてオープン化の波を退けてきた。ERPはオープン環境で稼働しているが、その下位層にあって、個々の工場の生産現場の情報を管理する製造実行システム(MES)は、ERPとは自動連携していない場合がほとんどだ。
さらにMESの下で動く、FAシステムの頭脳であるプログラマブルコントローラー(PLC)や、機器の動作を制御するモーションコントローラー、工作機械の数値制御(NC)装置、サーボモーターなどは、オープン性よりは信頼性や高速応答性を主眼に開発、利用されてきた。これらFA機器同士をつなぐネットワークも、一応はオープン規格とされるものの、実質的には開発元企業が中心となって運営してきた歴史がある。
今週からドイツで開かれる「ハノーバーメッセ」はインダストリー4.0とIoTの一大イベントになり、今年は「パートナー国」として米国が選ばれ、オバマ大統領もスピーチする。ドイツの「インダストリー4.0」は現時点ではスローガンやイメージが先行し、技術的な中身がわかりにくいのも事実。
GEのジェフ・イメルト会長は「日本には、ドイツや米国が目指すように、インダストリアル・インターネットを牽引するリーダーとなる技術的な素養がある。制御装置やセンサーの技術も世界屈指。産業の新しい時代に成功を収めるには、日本がもつ知力や優れた人材のパワーを解き放ち、最大限に活用していくことが重要だ」とし、 4つの視点を提起する。
1つは「ソフトウェアとデータ解析の重要性」。製造業であると同時にソフトウェアカンパニー、アナリティクスカンパニーであること。2つ目は「ものづくりの改革」。高度な新素材の開発・活用や、コンピューターモデリングを使った製品開発、センサーテクノロジーを活用した工場の自動化など、「アドバンスド・マニュファクチュアリング」の活用が製造業の新しい活路になる。
3つ目は「ビジネスモデルのイノベーション」。設備投資やモノを買うという行動は減り“利用したこと"に対価を支払うかたちに急速に移行、その変化に対応すること。4つ目は「シンプリフィケーション」。多くのことが複雑化していく中、その解決に重要なのはものごとを簡素化すること。早期からアイデアを顧客と共有し、フィードバックを受け、賢明な判断を下していく。泰然と構えた大企業では、市場のスピードについていけない時代になった。
GEのイメルト会長がいう「シンプル」の本質は、インターネットの中ではまったく違う業種でもビジネスモデルが近づいてきているということでもある。自分の業界だけを見ていても、イノベーションは生まれない。
IoTはすべてがつながる世界。生産現場の改善は日々行われているが、一方で作ったものは物流によって運ばれる。 その物流は今後自動運転カーを利用する可能性もあるのだ。 そういう未来をイメージするためには、自分の業界「以外」の動きに注目し、他業界の事例を概念化して自社のビジネスに取り込むことが重要になる。
<次のページは、コマツの泥臭いIoTとロボット、自動運転の近未来>
●IoT Conferrence 2016 Presens by IoTNEWS●
5月18日(水)10時ー19時30分(大崎ブライトコアホール)
「IoTの第一人者から、イノベーションに必須となる他業態の知見も取り込み、自社のIoTのイマジネーションを高めよう」
<登壇者>
▽ウフル上級執行役員IoTイノベーションセンター所長 八子 知礼氏
▽コマツ執行役員スマートコンストラクション推進本部本部長 四家 千佳史氏
▽インテル戦略企画室オートモーティブ・ユニットチーフ・アドバンストサービス・アーキテクト兼ディレクター
野辺 継男氏
▽フレームワークス代表取締役社長 秋葉 淳一氏
▽経営共創基盤パートナー取締役マネージングディレクター 塩野 誠氏
▽ソラコム代表取締役社長 玉川 憲氏>
<「IoT Conferrence 2016」の申し込みはこちらから>
IoT Conferrence 2016
ビッグデータ活用の戦略がある企業は5%?
2020年には500億もの「モノ」がインターネットに接続されると言われている。コンシューマーアプリが世の中を便利に変え、大量の経済的価値を生みだした。今後、世界経済の成長エンジンを果たすのが産業分野で、インフラ投資は15年以内に60兆ドルを超すと見込まれている。
そして、IoTやAIでイノベーションが起きるのは製造業だ。ところが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)とアクセンチュアが行ったインダストリアル・インターネットに対する意識調査で、 「データを基にしたオペレーションの最適化ができている」と自己評価した企業は36%。そして「すでにビッグデータ活用の戦略を固めた」 と答えた企業はわずか5%という結果が出た。
EPRだけで満足していないか
日本ではERP(統合業務システム)などのビジネスアプリケーションを活用する企業も多く、経営や生産の効率化に長けているイメージがある。その事実がビッグデータ時代の初動を遅らせてしまう可能性がある。大きな変革に対応できなければ、競合に市場シェアを奪われ、製品やサービスの価格を下げざるを得なくなるだろう。
品質、コスト、生産の管理のためにITシステムを導入している企業が多い日本では “データ活用の準備が出来ている“ と思い込んでしまっている。しかし実際に製造現場を見てみると、スプレッド・シートや電子メール、紙の伝票を使うシーンが残っている。連続的なデジタル処理の流れが業務プロセスに対応していないケースも多い。つまり、OT(オペレーショナル・テクノロジー)として機能していないのだ。
閉ざされたFA機器、強みが一転・・
例えば、IoTの普及により工場自動化(FA)システムのオープン化、標準化が進めば、日本が強い産業機器・FA業界は大きな影響を受けるだろう。 FA業界はこれまで、信頼性という高い壁に守られてオープン化の波を退けてきた。ERPはオープン環境で稼働しているが、その下位層にあって、個々の工場の生産現場の情報を管理する製造実行システム(MES)は、ERPとは自動連携していない場合がほとんどだ。
さらにMESの下で動く、FAシステムの頭脳であるプログラマブルコントローラー(PLC)や、機器の動作を制御するモーションコントローラー、工作機械の数値制御(NC)装置、サーボモーターなどは、オープン性よりは信頼性や高速応答性を主眼に開発、利用されてきた。これらFA機器同士をつなぐネットワークも、一応はオープン規格とされるものの、実質的には開発元企業が中心となって運営してきた歴史がある。
今週からドイツで開かれる「ハノーバーメッセ」はインダストリー4.0とIoTの一大イベントになり、今年は「パートナー国」として米国が選ばれ、オバマ大統領もスピーチする。ドイツの「インダストリー4.0」は現時点ではスローガンやイメージが先行し、技術的な中身がわかりにくいのも事実。
GE会長が示唆したニッポンの可能性
GEのジェフ・イメルト会長は「日本には、ドイツや米国が目指すように、インダストリアル・インターネットを牽引するリーダーとなる技術的な素養がある。制御装置やセンサーの技術も世界屈指。産業の新しい時代に成功を収めるには、日本がもつ知力や優れた人材のパワーを解き放ち、最大限に活用していくことが重要だ」とし、 4つの視点を提起する。
1つは「ソフトウェアとデータ解析の重要性」。製造業であると同時にソフトウェアカンパニー、アナリティクスカンパニーであること。2つ目は「ものづくりの改革」。高度な新素材の開発・活用や、コンピューターモデリングを使った製品開発、センサーテクノロジーを活用した工場の自動化など、「アドバンスド・マニュファクチュアリング」の活用が製造業の新しい活路になる。
3つ目は「ビジネスモデルのイノベーション」。設備投資やモノを買うという行動は減り“利用したこと"に対価を支払うかたちに急速に移行、その変化に対応すること。4つ目は「シンプリフィケーション」。多くのことが複雑化していく中、その解決に重要なのはものごとを簡素化すること。早期からアイデアを顧客と共有し、フィードバックを受け、賢明な判断を下していく。泰然と構えた大企業では、市場のスピードについていけない時代になった。
GEのイメルト会長がいう「シンプル」の本質は、インターネットの中ではまったく違う業種でもビジネスモデルが近づいてきているということでもある。自分の業界だけを見ていても、イノベーションは生まれない。
自分の業界「以外」の動きに注目を
IoTはすべてがつながる世界。生産現場の改善は日々行われているが、一方で作ったものは物流によって運ばれる。 その物流は今後自動運転カーを利用する可能性もあるのだ。 そういう未来をイメージするためには、自分の業界「以外」の動きに注目し、他業界の事例を概念化して自社のビジネスに取り込むことが重要になる。
<次のページは、コマツの泥臭いIoTとロボット、自動運転の近未来>
5月18日(水)10時ー19時30分(大崎ブライトコアホール)
「IoTの第一人者から、イノベーションに必須となる他業態の知見も取り込み、自社のIoTのイマジネーションを高めよう」
<登壇者>
▽ウフル上級執行役員IoTイノベーションセンター所長 八子 知礼氏
▽コマツ執行役員スマートコンストラクション推進本部本部長 四家 千佳史氏
▽インテル戦略企画室オートモーティブ・ユニットチーフ・アドバンストサービス・アーキテクト兼ディレクター
野辺 継男氏
▽フレームワークス代表取締役社長 秋葉 淳一氏
▽経営共創基盤パートナー取締役マネージングディレクター 塩野 誠氏
▽ソラコム代表取締役社長 玉川 憲氏>
<「IoT Conferrence 2016」の申し込みはこちらから>
IoT Conferrence 2016