産総研、立ち上がる!「ロボット王国」死守へコンソーシアム

産業革新や導入効果など国家戦略の議論を加速。NEDOも人工知能の研究者コミュニティー作り

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DARPAロボティクスチャレンジで日本チームの戦績は振るわなかった
 産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センターは、ドイツが主導する次世代の製造業モデル「インダストリー4・0」の対策作りなどを議論する協議会「ロボットイノベーションコンソーシアム」を立ち上げた。インダストリー4・0対応やロボット導入効果の実証、ビジネスマッチングなどの4部会を設け、ロボットの実用化を支援する。各機関による緊密な連携の場として運営していく。

 6月12日に茨城県つくば市の産総研つくば中央第一事業所で設立総会を開き、ロボットメーカーや自治体、金融機関など19機関で活動を始めた。ロボット技術部会では標準化などの対策を議論する。実務担当者レベルで対応戦略をまとめ、国に提言していく。

 また、応用検証部会ではロボットの導入効果の検証ノウハウを共有するほか、ビジネスマッチング部会については、ユーザーや金融機関との連携の場とする。産総研には国内金融機関から投資先などの技術評価の依頼が集まっている。ユーザーの評価が高いロボットを事業化するため、金融機関と結びつける。

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 経済産業省は人工知能(AI)の研究開発を加速させる。産業技術総合研究所に研究拠点を設け、100人規模のAI研究者の開発コミュニティーをつくる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のロボット研究予算をAI開発に割り当てる。2001年度で終了したリアルワールドコンピューティングプロジェクト(RWCP)以来、14年ぶりのまとまった予算となる。20年の東京オリンピックまでに10種のロボット開発を目指す。
 
 AIはロボットがサービス市場に進出するための必須技術。人間とロボットの対話や意味の理解、感情推定などに使われる。あらゆるモノがインターネットでつながる「IoT」時代には家電や情報機器にAIが搭載されて持ち主に合わせたサービスを提案するようになる。そこで産総研にAIの研究環境を整え、NEDOの15年度「次世代ロボット中核技術開発」事業の予算10億円の8割をAI開発に投じる。

 現在、AI研究は自然言語処理や画像処理、機械学習、予測最適化など広範な技術が必要にもかかわらず、分野が細分化し、人材も大学や企業研究所などに分散していた。産総研にAIの研究センターを設け、将来は100人規模の研究者を集める。

 NEDOの事業としてビッグデータ(大量データ)や知識を統合的に解析するデータ・知識融合型AIと、人間の脳のように思考する脳型AIを開発する。5月に開発プロジェクトの公募を開始、産総研は応札する予定だ。NEDOが課題や実証環境を用意し、各AIが課題に挑戦する競技会を開催する。約2年で開発状況を審査し、実現の難しいプロジェクトは中止し新規提案を募る。アワードやワークショップを通して研究者間の連携や情報共有を図る。

 NEDOの開発事業では臭覚センサーや人工筋肉などの要素技術も開発する。AI開発と連携させ、情報処理や制御などの相乗効果を狙う。

 日本のAI開発は92―01年度に実施されたRWCP以来、14年ぶりのまとまった予算になる。国立情報学研究所の「ロボットは東大にはいれるか」プロジェクトなど、各研究者や組織で研究を企画して続けられてきた。米グーグルのAI開発への大型投資やディープラーニング(深層学習)の技術的なブレークスルーなどで注目を集めたが、AI研究者からは「日本はブームで終わり、また冬の時代が来るのでは」と不安が募っていた。

日刊工業新聞2015年05月04日1面/06月13日電子版

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

人型ロボットの分野では、先般のDRCが一つの問題提起になった。そんな中で、国のロボット戦略加速に伴い、産学官を巻き込んだ枠組みづくりが進んでいる。大切なのは中身だ。単なるブームに留まらず、基盤研究を固めつつも「使える」ロボットや関連技術を積み上げていかねばならない。企業と大学・研究機関、政府間での危機感と目的意識の共有が、カギとなるように思う。

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