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五輪会場数が最多の街、東京・江東区の「おもてなし戦略」

区道の無電柱化や遮熱性舗装通じ、安全と環境に配慮
五輪会場数が最多の街、東京・江東区の「おもてなし戦略」

臨海小学校から明治小学校にフラッグを受け渡した

 東京都江東区は有明アリーナや夢の島公園、東京辰巳国際水泳場など、2020年東京五輪・パラリンピックでは23区で最多の競技会場を設置する。海の森水上競技場(大田区と協議中)を含め五輪は10会場11競技、パラリンピックは7会場8競技を開く予定だ。区は大会開催とその後を見据え、安全・安心と環境に配慮した街づくりを目指す。

 安全・安心の街づくりとして、競技会場周辺で観客の主な動線となる区道の無電柱化に2017年度予算で約5億円を計上する。電力線や通信線などを地下に収容する。電柱をなくし安全で快適な歩行空間を確保する。辰巳地区(522メートル)と東雲地区(525メートル)を整備する。

 環境政策では会場周辺の区道での遮熱性舗装に取り組む。大会開催時の暑さ対策として、路面に塗布した遮熱材が赤外線を反射することで舗装への蓄熱を防ぎ、路面温度の上昇を10度C程度抑える。星名剛オリンピック・パラリンピック開催準備課長はこれらの取り組みについて「訪日観光客へのおもてなしの一つ」と語る。

 4月24―28日の5日間、機運醸成のため大会のフラッグを区内全45小学校に回すツアーも開いた。児童から児童の手へとフラッグが届けられ、「これを契機に五輪への参加意識を持ってほしい」と星名課長は話す。

【記者の目】
 キャッチフレーズ「スポーツと人情が熱いまち 江東区」を掲げる同区はスポーツ環境が充実しており、有力選手を多数輩出している。1万人以上を収容できる施設が多く、区のPRにもつながる。一方、競技場は高台にあり、水害などの災害時は避難者が押し寄せることも想定される。安全安心なインフラの整備が五輪を下支えする。
(文=高橋沙世子)
日刊工業新聞 2017年6月27日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 文中には触れられていませんが、運河を活用した街づくりなども、江東区らしさとして世界に発信できるのではないでしょうか。

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