ジャパネットたかた創業者・高田明氏「私の伝え方は世阿弥と一緒」
初の自署「伝えることから始めよう」について語る
―初の自著です。読むと今を生きる大切さを考えさせられます。
「伝えるためのノウハウとともに“今を生きましょう”というメッセージを込めた。人は過去のトラウマに翻弄(ほんろう)されると成長できない。今という瞬間に全力投球することで未来が開ける。らせん階段のように人生限りなく自己更新してほしい。私が20歳の頃はその意味合いに気付けなかった。どのタイミングでそこに気付けるかが重要。幅広い年代の方に読んでほしい」
―長年テレビやラジオの第一線で活躍されました。伝わるコミュニケーションに必要なことは。
「スキルとパッション、そしてミッションの三つが大切だ。パッションとは、つまり情熱。熱く語りかけることで相手に伝わる。これは親子の関係でも同じ。親が本気でしかってくれていると理解できれば子どもに伝わる。気は不可能を可能にする。気持ちが正確に伝わらなければ、いい関係は築けない。伝えたつもりで終わってしまうことが一番怖い」
―多種多様な商品を紹介してきて工夫していたことは。
「紹介する製品の性能うんぬんより、商品が届くことでどのように生活が豊かになるかを想像してもらった。常にお客さんのバックグラウンドや習慣を考えた。共感できれば購入していただける。同じ商品を紹介するAとBの2人がいても、表情や気持ち次第で売れ行きは異なる。ただ、これは性格も関係するし加齢による経験かもしれない」
―能で知られる世阿弥と意外な共通点もあるとか。
「世阿弥が残した『花鏡』の中で、伝えるポイントを一調二機三声という言葉で表している。一調は声の張りや高さを心と体で整えること。二機は声を出す間を推しはかること。そして三声は声を発すること。この過程を常に踏む必要があると書き残している。私がやっていることと一緒だと思った。テレビもスマホもない時代の技法が今に通じるのだから驚きだ。時代は変わっても人々を引きつける手法は変わらないのかもしれない」
―多くの中小企業で課題となっている事業承継に触れています。
「進退をかけた2013年度に過去最高益を出し、その1年後の15年1月に社長を退任した。すべての事業承継に不安はあると思う。だが退任するならばすべてを任せ、希望や期待を持った方がいい」
「14年の社長最後の年に不易流行を掲げた。グローバル化やIT化で時代はめまぐるしく変わり、今日売れたものが明日も売れるとは限らない。だが、企業は人を幸せにするためにあるという理念は持ち続けないといけない。新社長も就任の年に同じ言葉を掲げてくれてうれしかった」
―地元サッカークラブのV・ファーレン長崎の社長に就任しました。今度はスポーツの楽しさを伝えます。
「人生はいい意味で次から次へと課題を背負う。通販もサッカークラブ運営もビジネス構造は一緒。製品を購入していただいた消費者がファンに変わったという話。私がキーパーをしなくてもいいからね」
(聞き手=西部・増重直樹)
「伝えるためのノウハウとともに“今を生きましょう”というメッセージを込めた。人は過去のトラウマに翻弄(ほんろう)されると成長できない。今という瞬間に全力投球することで未来が開ける。らせん階段のように人生限りなく自己更新してほしい。私が20歳の頃はその意味合いに気付けなかった。どのタイミングでそこに気付けるかが重要。幅広い年代の方に読んでほしい」
―長年テレビやラジオの第一線で活躍されました。伝わるコミュニケーションに必要なことは。
「スキルとパッション、そしてミッションの三つが大切だ。パッションとは、つまり情熱。熱く語りかけることで相手に伝わる。これは親子の関係でも同じ。親が本気でしかってくれていると理解できれば子どもに伝わる。気は不可能を可能にする。気持ちが正確に伝わらなければ、いい関係は築けない。伝えたつもりで終わってしまうことが一番怖い」
―多種多様な商品を紹介してきて工夫していたことは。
「紹介する製品の性能うんぬんより、商品が届くことでどのように生活が豊かになるかを想像してもらった。常にお客さんのバックグラウンドや習慣を考えた。共感できれば購入していただける。同じ商品を紹介するAとBの2人がいても、表情や気持ち次第で売れ行きは異なる。ただ、これは性格も関係するし加齢による経験かもしれない」
―能で知られる世阿弥と意外な共通点もあるとか。
「世阿弥が残した『花鏡』の中で、伝えるポイントを一調二機三声という言葉で表している。一調は声の張りや高さを心と体で整えること。二機は声を出す間を推しはかること。そして三声は声を発すること。この過程を常に踏む必要があると書き残している。私がやっていることと一緒だと思った。テレビもスマホもない時代の技法が今に通じるのだから驚きだ。時代は変わっても人々を引きつける手法は変わらないのかもしれない」
―多くの中小企業で課題となっている事業承継に触れています。
「進退をかけた2013年度に過去最高益を出し、その1年後の15年1月に社長を退任した。すべての事業承継に不安はあると思う。だが退任するならばすべてを任せ、希望や期待を持った方がいい」
「14年の社長最後の年に不易流行を掲げた。グローバル化やIT化で時代はめまぐるしく変わり、今日売れたものが明日も売れるとは限らない。だが、企業は人を幸せにするためにあるという理念は持ち続けないといけない。新社長も就任の年に同じ言葉を掲げてくれてうれしかった」
―地元サッカークラブのV・ファーレン長崎の社長に就任しました。今度はスポーツの楽しさを伝えます。
「人生はいい意味で次から次へと課題を背負う。通販もサッカークラブ運営もビジネス構造は一緒。製品を購入していただいた消費者がファンに変わったという話。私がキーパーをしなくてもいいからね」
(聞き手=西部・増重直樹)
【略歴】髙田明氏(たかた・あきら) ジャパネットたかた創業者71年(昭46)大阪経済大経卒、同年阪村機械製作所入社。74年父親が経営する「カメラのたかた」入社、86年分離独立して「たかた」設立、99年「ジャパネットたかた」に社名変更。15年1月代表取締役退任、長男に社長を交代。同年AandLive設立。長崎県出身、69歳。
日刊工業新聞2017年7月3日「著者登場」