「うどん県」を悩ますもったない廃棄うどん、バイオエタノールに回収
ちよだ製作所などのプラントが活躍
うどんは香川県を代表する主要な観光資源であり、その生産量は国内第1位である。その一方で生産過程で発生する不良うどんの処理は、製麺業者にとって大きな問題となっていた。例えば、香川県内のある冷凍うどん製造業者では、1工場あたり年間250トンのうどんを廃棄しており、保有6工場全てを合わせると年間1500トンを約2000万円かけて廃棄処分していた。この廃棄うどんが「もったいない」という製麺業者からの声がきっかけで共同事業が始まった。
うどんなどのでんぷんを発酵させてバイオエタノールを生産する場合、液化酵素や糖化酵素を加える前処理を行って初めて酵母による発酵が可能となる。
産業技術総合研究所では液化酵素・糖化酵素をもつ酵母株を開発し、ビーカースケールではうどんから直接エタノールを生産することに成功していた。また、うどんには塩分が含まれているが、この塩分に対して耐性を示す耐塩性酵母も開発していた。
ちよだ製作所(高松市)は産業用機械メーカーであるが2004年からメタン発酵をはじめとした環境事業にも着手している。今回の共同事業ではプラントの設計・製作は、ちよだ製作所が、酵母の開発は産総研が、発酵条件の確立などは香川県食品研究所がそれぞれ担当した。
10年末には発酵槽容量50リットル規模で20キログラムの廃棄うどんから約2リットルのバイオエタノールを回収できる実験機を試作し、翌年には1000リットル規模のプラントを試作した。13年には生産能力をさらに向上させ1トンの廃棄うどんから約200リットルのバイオエタノールを連続生産できる実用規模のプラントを完成させた。
このプラントでは、メタン発酵プラントやメタンガス発電設備を組み合わせて、エタノール発酵後の残渣(ざんさ)から電気と熱を回収し、そのエネルギーをバイオエタノール生産に利用できる。
これによりエネルギー回収効率が大幅に向上し、バイオエタノールプラント単体ではプラスにならないエネルギー収支をプラスにすることができた。これは当社が不得意なソフト面や酵母の開発などを産総研に担当していただいたおかげで成し得たことである。
現在はメタン発酵後の残渣を河川放流できるレベルまで浄化することや汚泥の肥料化などに取り組み、最終的には廃棄物の出ないゼロエミッションプラントを構築することを目指していく。
(文=ちよだ製作所技術開発営業・尾嵜哲夫氏)
うどんなどのでんぷんを発酵させてバイオエタノールを生産する場合、液化酵素や糖化酵素を加える前処理を行って初めて酵母による発酵が可能となる。
産業技術総合研究所では液化酵素・糖化酵素をもつ酵母株を開発し、ビーカースケールではうどんから直接エタノールを生産することに成功していた。また、うどんには塩分が含まれているが、この塩分に対して耐性を示す耐塩性酵母も開発していた。
ちよだ製作所(高松市)は産業用機械メーカーであるが2004年からメタン発酵をはじめとした環境事業にも着手している。今回の共同事業ではプラントの設計・製作は、ちよだ製作所が、酵母の開発は産総研が、発酵条件の確立などは香川県食品研究所がそれぞれ担当した。
10年末には発酵槽容量50リットル規模で20キログラムの廃棄うどんから約2リットルのバイオエタノールを回収できる実験機を試作し、翌年には1000リットル規模のプラントを試作した。13年には生産能力をさらに向上させ1トンの廃棄うどんから約200リットルのバイオエタノールを連続生産できる実用規模のプラントを完成させた。
このプラントでは、メタン発酵プラントやメタンガス発電設備を組み合わせて、エタノール発酵後の残渣(ざんさ)から電気と熱を回収し、そのエネルギーをバイオエタノール生産に利用できる。
これによりエネルギー回収効率が大幅に向上し、バイオエタノールプラント単体ではプラスにならないエネルギー収支をプラスにすることができた。これは当社が不得意なソフト面や酵母の開発などを産総研に担当していただいたおかげで成し得たことである。
現在はメタン発酵後の残渣を河川放流できるレベルまで浄化することや汚泥の肥料化などに取り組み、最終的には廃棄物の出ないゼロエミッションプラントを構築することを目指していく。
(文=ちよだ製作所技術開発営業・尾嵜哲夫氏)
日刊工業新聞2017年6月29日