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スバル車の安全機能が多種多彩になってきた!

スバル車の安全機能が多種多彩になってきた!

「レヴォーグ」(同社公式ページより)

 SUBARU(スバル)は、今夏に一部改良して発売するスポーツワゴン「レヴォーグ」とスポーツ車「WRX S4」に後退時自動ブレーキシステムを採用する。運転支援システム「アイサイト」に追加する機能でスバルの国内仕様車では初めての搭載になる。

 同システムは後退時に車体後部に内蔵されたソナーセンサーが障害物を検知し、衝突の可能性がある場合は警報音や警告表示で注意を喚起する。回避操作がない場合は自動ブレーキをかけて衝突を回避、または被害を軽減する。また、レヴォーグにはスバル車で初めて電子ミラーを設定するなど運転支援機能を高める。

 またスバルは歩行者保護用エアバッグの搭載車種を増やしている。昨年秋に全面改良して発売した新型「インプレッサ」に続き、5月に発売したスポーツ多目的車(SUV)の新型「XV」に全車標準搭載した。歩行中に車と衝突する事故で命を落とす人が後を絶たないためだ。乗員とならび歩行者保護も重視しスバル車の衝突安全性能に磨きをかけるという。

 スバルが歩行者用エアバッグを採用したのは交通事故における歩行者の死亡者数が多いためだ。国土交通省の資料によると、2015年における交通事故による死亡者の約37%が歩行者だった。自転車を含めると半数を超える。

 スバルはこれまで対策としてフロントフードを改良し、歩行者との衝突を軽減できる構造にするなど安全性能を高めてきた。ただフロントガラス横のピラーについては構造上硬いままにする必要があり、危険性が高いのが課題だった。

 古川寿也車両研究実験第二部部長は「解決にはピラーを覆う歩行者保護用エアバッグが必要だと判断した」と振り返る。歩行者保護用エアバッグを巡ってはスウェーデンのボルボ・カーなどが採用していたが、日本の完成車メーカーで車に標準搭載したのはスバルが初めてだ。

 さらにスバルは「アイサイト」に高速道路で渋滞時を含めて先行車に自動追従できる「ツーリングアシスト」を追加、今夏にスポーツ車に搭載して発売する計画。独ダイムラーや日産自動車などに続くもので、人の運転感覚に近い車体制御を実現したのが特徴だ。自動運転技術は前走車追従、自動停止といった機能だけでなく、乗り心地や快適な運転といった“質”が問われる段階に差し掛かっている。
日刊工業新聞2017年6月21日の記事に加筆
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
吉永社長の見立てはこうだ。「新型車の投入が続く19年ごろまで販売は大崩れしないだろう。スバルにとっての勝負は20年以降だ。21年に発売するEV開発など先を見据えた投資を進める。今、車の販売が好調なのは4―5年前にちゃんと仕込みができていたから。17年度は営業減益の計画だが、数字をよく見せることに走らず、やるべきことをやる」 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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