最大のマンモス私大、日大が“一体感”を求め始めた理由
大塚学長に聞く「どのような人を育てるかの共通認識が希薄だった」
16学部86学科を擁する日本最大の私立大学、日本大学。それだけに収容定員の厳格化など運営では国や社会の動向に敏感にならざるを得ない。また全国各地にキャンパスが分散している状況の中、大塚吉兵衛学長は、「教育憲章」や学部混合の能動的学習により、一体感を引き出す方策を打ち出した。
―私立大は国立大に比べて独立性が高い分、変化に機敏に対応する必要があります。
「今の課題の一つは、大都市圏での入学定員超過抑制に向けた文部科学省の措置だ。合格者の決定に関して慎重な判断が迫られ、その加減が難しい。どの私立大学も悩んでいると聞く。一方、志願者からのニーズに応えるべく、本学では18年度からの入学定員を、生産工学部など計472人増で文科省に申請中だ」
―4月から「日本大学教育憲章」の適用を始めました。
「教育理念で『自主創造』を掲げているものの、これまでどのような人を育てるかの共通認識が希薄だった。憲章では『自ら学ぶ・考える・道をひらく』能力を身に付け、日本の特質を理解し、伝えるといった『日本大学マインド』を持つ人材の育成を示した」
―その体現に全学共通の初年次教育の科目「自主創造の基礎2」を位置付けました。
「1年生に学修スキルを身に付けさせる各学部の『自主創造の基礎1』に続き、2017年度後期から新たな授業手法を導入する。1万人規模で、他学部の学生を混在させた学生チームをつくり、多様な価値観を持つ学生同士が議論するなど、大規模な参加型学習を開始する」
「学生は仲間が増えて、途中で就学継続できなくなるケースも減るのではないか。分野による視点の違いも新鮮に感じるはず」
―学長特別研究の内容をお願いします。
「これは国の競争的資金を獲得する研究プロジェクトを育てるのが目的だ。2―3の4学部程度の連携グループへ、各年総額5000万円ほどを支援する。15―17年度は産業化を目指す新型農業と、iPS細胞(人工多能性幹細胞)に似た『細胞の脱分化技術による組織再生』を取り上げている」
―私立大は国立大に比べて独立性が高い分、変化に機敏に対応する必要があります。
「今の課題の一つは、大都市圏での入学定員超過抑制に向けた文部科学省の措置だ。合格者の決定に関して慎重な判断が迫られ、その加減が難しい。どの私立大学も悩んでいると聞く。一方、志願者からのニーズに応えるべく、本学では18年度からの入学定員を、生産工学部など計472人増で文科省に申請中だ」
―4月から「日本大学教育憲章」の適用を始めました。
「教育理念で『自主創造』を掲げているものの、これまでどのような人を育てるかの共通認識が希薄だった。憲章では『自ら学ぶ・考える・道をひらく』能力を身に付け、日本の特質を理解し、伝えるといった『日本大学マインド』を持つ人材の育成を示した」
―その体現に全学共通の初年次教育の科目「自主創造の基礎2」を位置付けました。
「1年生に学修スキルを身に付けさせる各学部の『自主創造の基礎1』に続き、2017年度後期から新たな授業手法を導入する。1万人規模で、他学部の学生を混在させた学生チームをつくり、多様な価値観を持つ学生同士が議論するなど、大規模な参加型学習を開始する」
「学生は仲間が増えて、途中で就学継続できなくなるケースも減るのではないか。分野による視点の違いも新鮮に感じるはず」
―学長特別研究の内容をお願いします。
「これは国の競争的資金を獲得する研究プロジェクトを育てるのが目的だ。2―3の4学部程度の連携グループへ、各年総額5000万円ほどを支援する。15―17年度は産業化を目指す新型農業と、iPS細胞(人工多能性幹細胞)に似た『細胞の脱分化技術による組織再生』を取り上げている」
>【略歴】おおつか・きちべえ 69年(昭44)日大歯卒。73年同大院歯学研究科修了。79年助教授、93年教授。04年歯学部長。06―07年、09―10年副総長。11年総長。13年学長に職位変更。歯学博士。栃木県出身、72歳。
日刊工業新聞2017年6月15日