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今さら聞けない「ZEH」講座

聞きたくても聞きにくい…費用に関する質問をぶつけてみた! 【PART3】
今さら聞けない「ZEH」講座

設置事例―東京都立川市(モデルハウス)瓦一体型太陽電池

 1回、2回と「ZEH」の話を学び、伺ってきた。
しかし調べていると、「ZEH 補助金 落選」などが検索ワードに浮かんでくる。
どうやらZEH導入にあたり、条件をクリアすれば補助金は出るが、国庫も無尽蔵ではなく、当然「予算」が組まれている。その為、想定以上の申し込みがあると抽選になり、落選する方も出てくる……というのが「ZEH 補助金 落選」が検索ワードに上がる理由だ。
 落選しないためにはどうすれば良いのか。
申請の際にはハウスメーカーや工務店などがサポートしてくれるが、いざという時に慌てない為にも準備しておきたい。
そこで引き続き、株式会社カネカの方にお話を伺った。


Q.噂では当選率75%と聞きました。毎年変わっているそうですが、補助金の事を詳しく教えて下さい。


-平成28年度は申請:9,993件/交付決定:6,356件でした。63%という事になります。以前は申請が受理された順に補助金交付の対象となっていましたが、平成28年度は「より1次エネルギー消費削減率が高い」事業が優先となりました。
 年度ごとに要件・公募期間等も異なるため、注意が必要です。

「せっかくZEH仕様にしたのに!」という方が37%いらっしゃったんですね。もし補助金をあてにしていて、落選した場合、補てんなどは……
-補てんはありません。

ではますます後悔しない為にも学ばねばならない。学べば対策も出来るはずだ。率直にポイントなどをお伺いすれば、

Q.補助金をもらうために、対策やポイントなどはありますか?


-ポイントは「創エネ」と「省エネ」、この2つです!
・エネルギーを創る太陽光発電の採用は必須。(創エネ)
・断熱性能の良い外壁、工法を選ぶ。(省エネ)
・性能の良い断熱材を採用する。(省エネ)
・断熱性能の良い複層ガラスやアルゴンガス封入の窓、サッシを採用する。(省エネ)
・消費電力の少ないエアコン、照明器具、電球(LED)を採用する。(省エネ)

サッシやエアコン、照明器具まで。
単純に「太陽光発電」を取り付けるだけではいけないという事がはっきりする。外観だけを整え、中身(意識)はそのまま、ではいけないのがZEH―未来の家の形なのだ。

Q.昨年は1戸辺り125万と聞きましたが、今年は75万円……。今後はどうなっていのでしょうか。補助金は右肩下がりなのでしょうか。


自動車や太陽電池もそうですが、補助金は「普及させるため」にあるものです。ですので、普及に伴い、補助額は減額、または終了となると予測されます。補助金が終了しても、税制優遇等が受けられるようになれば良いのですが……。


Q.積水ハイムさんやパナホームさん、「ZEH」で調べると色々な企業さんが出てきます。カネカさんの特徴はなんでしょうか。


―私たちの競合は大手電機メーカーです。カネカでは、「太陽電池=家電」という視点は持たず、「太陽電池=建材」として考えています。
「ただ発電すれば良い」だけでなく、「雨漏りしない」「住宅に合わせて設置できる」。そんな特徴を持った太陽電池を提案させていただいております。

 耐震性や屋根への負担などの言及がカネカのパンフレットにはある。また一体型で一般的に言われる「メンテナンスがしにくい」という欠点だが、「弊社のVISOLAは瓦一体型なので、1枚1枚で取り外しが可能で修繕がしやすいのも特徴です」との事だった。




 太陽光設置にあたり、気になるのは「お金の話」だった。設置に必要な費用は、ランニングコストは、月々の発電量は。だが話を聞けば聞くほど、ZEHのそもそもの発起点――「エネルギー」への意識、「エコ」にかえってくる事に気が付いた。

 前回お伺いした際にも「エネルギーへの意識が変化する」というお話を伺った。つまりZEHを考えた時、最終的に設置するかしないかとは別に「エネルギー問題を改めて考える」という機会になる事は間違いない。実際に体験できるモデルハウスも増えているので、エネルギー問題を考えてみるという意識で訪れてみても良いかも知れない。

日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
聞きにくい、分かりにくと言われるお金の質問をあれこれとぶつけてみました。オフレコですが、普通の住宅+ZEHの料金は大体400万くらいプラス(あくまで目安、大体)だそうです。しかし何千万という住宅の価格を見ていると、400万くらいか…と思えてきてしまう恐ろしい数字マジック。

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