トランプ就任100日、エコノミストは軒並み低評価下す
オバマ前大統領に劣る、目立った成果無し…
トランプ米大統領が29日に就任100日を迎える。環太平洋連携協定(TPP)からの離脱など大統領令で可能な施策は即行動に移しているが、医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案の採決など議会との調整が必要な分野では思い通りに進んでいない。日本の識者の評価は総じて低く、重要施策である法人減税も打ち出すが及第点とは言えない状況だ。
●日本総合研究所調査部長兼チーフエコノミスト・山田久氏
トランプ米大統領の通商政策は世界経済にはマイナスだが、財政政策はプラスという2面性のある政策を掲げた。だが大統領就任から100日間で政権内の主要ポストがほとんど決まっていない。
結果、通商政策は就任当初ほど強硬ではなく、財政政策もオバマケアで露呈したように議会・共和党との調整が行われていない。
政権のスタッフ不足と共和党との調整の遅れでプラス、マイナスいずれの政策も小さな成果にとどまった。政権の政策は評価する以前の段階だ。合格か落第かは評価できず、現時点では50―60点だろうか。
●第一生命経済研究所首席エコノミスト・嶌峰義清氏
トランプ米大統領が就任当初にイメージしていた政策は、この100日間でほとんど実現できなかった。中国を為替操作国に認定しないなど、現実路線に軌道修正した政策もある。
通商政策についても、TPPからの離脱を決めたものの、意欲を示す2国間交渉で今後どう動くかは不透明だ。米国内向けの施策ではオバマケアでつまずいたが、大規模な法人減税は景気にはプラス。今後どこまで実現できるか、お手並み拝見といったところ。
100日の政策を採点し、合格70点・不合格30点なら50点程度でないか。
ニッセイ基礎研究所主任研究員・窪谷浩氏
期待された法人減税やインフラ投資の姿はまだ見えていない。通商政策もトランプ政権の方針は揺れ動き、軸がブレている。保護主義的な政策を掲げながら、中国の為替操作国認定を見送り、NAFTAの見直しもトーンダウンしている。
オバマ前大統領が就任後1カ月で景気対策をまとめ、議会を通したことと比較すると、トランプ米大統領の就任後100日の経済政策は不合格といえる。60点を合格点とすれば40点だろう。
目に見えた成果がなく、スタッフ不足から政策立案能力も劣っており、それが大統領支持率にも表れている。
三井物産戦略研究所北米・中南米室長 山田良平氏
政権発足後まず取り組むべきは人事で、副長官以下のポストの9割が依然未指名なのは大きな減点。100日でできることには限界があり、選挙公約を大統領令で発表し方向性を示すのは間違いではない。だが、議会など関係者への根回しは不十分で混乱を引き起こしたのはマイナスだ。
議会を尊重してまずオバマケアの撤廃に取り組んだ結果、税制改革が後回しとなり時間を無駄にした。通商は、TPP離脱は大きな減点だが、NAFTA再交渉や対中通商政策は公約ほどの極端な内容でない点は救い。結果として40点。
みずほ総合研究所欧米調査部長・安井明彦氏
この100日は大統領の職に慣れるのに使い切った印象だ。当初は選挙中からの側近だけで政権を運営できると見ていたが、それだけでは回らないと思い知っただろう。
特に行政府の使い方や議会との折衝につまずき、大統領として力を発揮できなかった。経済政策では規制緩和こそ着手したが、それ以外で目立つ成果はない。
100日が経過し、ようやく開店にこぎ着けた状況で、まだ点数はつけられない。強いてあげれば、30点ぐらいだろうか。エネルギー分野などの規制緩和に取り組み始めた点は評価したい。
【50―60点】通商、財政とも小さな効果
●日本総合研究所調査部長兼チーフエコノミスト・山田久氏
トランプ米大統領の通商政策は世界経済にはマイナスだが、財政政策はプラスという2面性のある政策を掲げた。だが大統領就任から100日間で政権内の主要ポストがほとんど決まっていない。
結果、通商政策は就任当初ほど強硬ではなく、財政政策もオバマケアで露呈したように議会・共和党との調整が行われていない。
政権のスタッフ不足と共和党との調整の遅れでプラス、マイナスいずれの政策も小さな成果にとどまった。政権の政策は評価する以前の段階だ。合格か落第かは評価できず、現時点では50―60点だろうか。
【50点】今後のお手並み拝見
●第一生命経済研究所首席エコノミスト・嶌峰義清氏
トランプ米大統領が就任当初にイメージしていた政策は、この100日間でほとんど実現できなかった。中国を為替操作国に認定しないなど、現実路線に軌道修正した政策もある。
通商政策についても、TPPからの離脱を決めたものの、意欲を示す2国間交渉で今後どう動くかは不透明だ。米国内向けの施策ではオバマケアでつまずいたが、大規模な法人減税は景気にはプラス。今後どこまで実現できるか、お手並み拝見といったところ。
100日の政策を採点し、合格70点・不合格30点なら50点程度でないか。
【40点】オバマ前大統領に劣る
ニッセイ基礎研究所主任研究員・窪谷浩氏
期待された法人減税やインフラ投資の姿はまだ見えていない。通商政策もトランプ政権の方針は揺れ動き、軸がブレている。保護主義的な政策を掲げながら、中国の為替操作国認定を見送り、NAFTAの見直しもトーンダウンしている。
オバマ前大統領が就任後1カ月で景気対策をまとめ、議会を通したことと比較すると、トランプ米大統領の就任後100日の経済政策は不合格といえる。60点を合格点とすれば40点だろう。
目に見えた成果がなく、スタッフ不足から政策立案能力も劣っており、それが大統領支持率にも表れている。
【40点】議会の根回し不十分
三井物産戦略研究所北米・中南米室長 山田良平氏
政権発足後まず取り組むべきは人事で、副長官以下のポストの9割が依然未指名なのは大きな減点。100日でできることには限界があり、選挙公約を大統領令で発表し方向性を示すのは間違いではない。だが、議会など関係者への根回しは不十分で混乱を引き起こしたのはマイナスだ。
議会を尊重してまずオバマケアの撤廃に取り組んだ結果、税制改革が後回しとなり時間を無駄にした。通商は、TPP離脱は大きな減点だが、NAFTA再交渉や対中通商政策は公約ほどの極端な内容でない点は救い。結果として40点。
【30点】目立った成果無し
みずほ総合研究所欧米調査部長・安井明彦氏
この100日は大統領の職に慣れるのに使い切った印象だ。当初は選挙中からの側近だけで政権を運営できると見ていたが、それだけでは回らないと思い知っただろう。
特に行政府の使い方や議会との折衝につまずき、大統領として力を発揮できなかった。経済政策では規制緩和こそ着手したが、それ以外で目立つ成果はない。
100日が経過し、ようやく開店にこぎ着けた状況で、まだ点数はつけられない。強いてあげれば、30点ぐらいだろうか。エネルギー分野などの規制緩和に取り組み始めた点は評価したい。
日刊工業新聞2017年4月27日の記事抜から粋