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鈴鹿のソーラーカーレースに世界最大手トリナ・ソーラーが参戦

大学の強豪にチームに高効率パネル供給
鈴鹿のソーラーカーレースに世界最大手トリナ・ソーラーが参戦

大産大チームのソーラーカー

 中国トリナ・ソーラーは大阪産業大学のソーラーカーチームのスポンサーとなった。8月に鈴鹿サーキットで開催される国際ソーラーカーレースに参戦する同大チームの車両(写真)向けに太陽電池を提供する。同大チームは2012、13、14年の3大会連続で総合1位を獲得した強豪。トリナは太陽電池の変換効率で世界最高水準の太陽電池を供給し、V4達成に貢献する。

 高効率な太陽電池を探していたチームメンバーが、トリナの研究者の講演を聞いた縁でスポンサーに決まった。トリナはチームの依頼に応え、表面に配線がないバックコンタクト方式を採用した変換効率23・1%の太陽電池565枚を供給する。トリナは世界最大の太陽電池メーカー。

 トリナ・ソーラーって?

 中国大手太陽電池メーカー。2014年7―9月期に世界で出力合計91万キロワットに相当する製品を出荷し、四半期ベースで首位に躍り出た。生産能力は年380万キロワット。主力は多結晶シリコン製太陽電池だが単結晶製の割合を増やしている。9月には単結晶製の6インチセル60枚構成のパネルで出力335・2ワットを記録したと公表した。

 開発レベルだが、同サイズのパネルとしては世界最高出力。300ワット超のパネルを量産するメーカーは少なく、量産に成功すればインパクトは大きい。
 
 日本市場ではセルをガラス2枚ではさんだ両面ガラスパネルを販売する。セルの表面がガラス、裏面が樹脂の通常のパネルよりも湿気に強い。光が裏面に透過する意匠性を生かし、駐車場の屋根などに提案する。日本には10年に進出。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の開始前に日本法人を設立していたが、同業の海外メーカーに比べ出遅れた。高出力パネルと両面ガラスパネルで挽回を目指す。

 <企業データ>
 本社=中国・常州市、創業=1997年、売上高=17億ドル(2013年12月期)、業種=太陽電池セル・モジュールの生産・販売
 ※2014年12月25日 国際面「世界の企業」より
日刊工業新聞2015年05月29日 建設・エネルギー・生活1面に加筆
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
ソーラーカーといえばパナソニックの「HIT」太陽電池を採用する東海大のチームが有名です。トリナ・ソーラーの日本戦略は日本企業へのOEMが中心でしたが、最近は自社ブランドでの販売ウエイトを高めようとしています。技術革新にアグレッシブに挑戦していて、そのフラグシップとしてソーラーカーのスポンサーに名乗りを上げたと思われます。

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