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IoTのセキュリティー規格、日本が国際標準化を提案へ

経産省などが導入・運用への指針づくり
 経済産業省は情報処理学会などと連携し、IoT(モノのインターネット)を安全に導入・運用するための指針「IoTセキュリティガイドライン」の国際標準化に乗り出す。10月をめどに、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)に概要版を提出する計画。日本発の国際規格にすることで同指針の認知度向上や日本企業の海外展開支援につなげる。2022年度末までの規格発行を目指す。

 ISO、IECへの提案を想定した、IoTセキュリティガイドラインの英語版を作成した。10月に概要を提出し、その後2―3年をかけ正式な提案内容を策定していく計画。正式提案後、通常36カ月以内とされる規格案の作成期間を経て、発行にこぎ着ける考えだ。

 情報の安全性(サイバーセキュリティー)に関する規格は、「ISO/IEC27000シリーズ」などが存在しているが、IoTでつながる設備や機器などの“モノ”までを対象とした国際的指針はまだない。このため、経産省はIoTセキュリティガイドラインを日本発の新たな国際標準になるよう提案する。

 ISO、IECで認められ、規格として発行できれば、日本国内での訴求力向上のほか、日本企業が海外で製品を売りやすくなるなどのメリットが見込める。

 IoTセキュリティガイドラインは、あらゆる機器がインターネットにつながる状況でサイバーセキュリティーを確保するための指針。経産省と総務省が16年7月に策定した。機器の設計段階からサイバーセキュリティーに配慮することなどを推奨している。
『スマートファクトリーJapan』
 製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す「スマートファクトリーJapan 2017」を2017年6月7日(水)〜9日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した生産管理・システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。

 また、昨年まで「クラウドコミュニティ」という名称でセミナーセッションを中心に企画展を実施してまいりましたが、時代の潮流に合わせてID獲得型フォーラムとして「IoT・AI Innovation Forum」を同時開催いたします。
【4月下旬来場登録開始】
日刊工業新聞2017年4月25日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
 IoTを積極的に推進しようとするもとかく議論から落ちてしまいがちだか、見逃してはならないのがセキュリティ。これまでにもITやクラウドはネットワークに繋がり、ソフトウェアが読み書き実行できることからセキュリティ対策はこだわりすぎるほどこだわってきた企業も多い。目的と手段が逆転してセキュリティ過剰な企業が出るほどだ。  一方で国が今回音頭をとって進めているのはデバイスをネットワークにつないだ時のビジネスモデルを想定したトータルのセキュリティだ。デバイスそのものの物理的なセキュリティやそのデバイスが正しく接続されたものかどうかの認証などはもちろんのこと、デバイスの上に実装されているソフトウェアや通信時のデータをどう守るのかなど課題はあまりにも多く、取り組むべき意義のある領域だ。  顧客からも問い合わせや検討依頼が多く、弊社も自社製品で重点的に取り組んだりパートナー企業と協業を加速しているが、国がこうしてバックアップして標準化を推進してくれることはありがたい。ガラパゴスとならぬようスピーディかつ世界に通じる視点で推進していただくことに期待が寄せられる。

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