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米国の新車販売急減、好調スバルに死角はないのか

スバル・オブ・アメリカ・中村会長に聞く「従来のビジネススタイルを守る」
米国の新車販売急減、好調スバルに死角はないのか

スバルが来年投入する北米専用大型SUV「アセント」

 北米で快走が続くSUBARU(スバル)。主戦場の米国市場で新車販売が鈍化する中、スバル車の販売は好調さを維持できるのか。米国販売会社、スバル・オブ・アメリカ(ニュージャージー州)の中村知美会長に市場の見通しや販売戦略を聞いた。

 ―2018年にスバル車で最大サイズの大型スポーツ多目的車(SUV)「ASCENT(アセント)」を投入します。
 「過去にアセントの前身にあたる『トライベッカ』を投入したが、大きさや動力性能に課題があり撤退した。前回の反省を生かし、アセントは米国市場で受け入れられるサイズにした。SUVはもちろん3列シート搭載車のマーケットが広がっており、子育て層の獲得を狙う。月販5000台を想定している」

 ―今年に入り米国新車販売は3カ月連続で前年割れが続いています。販売環境をどう見ていますか。
 「市場自体は苦しい状況に入った。特に乗用車系の落ち込みが激しく、SUVを含むライトトラック系が伸びているものの補い切れていない。スバル車でいえば乗用車系でDセグメントに属する『レガシィ』は販売が伸び悩み苦戦している」
 「一方、同じ乗用車系でも米国で昨年末に発売したCセグメントの新型『インプレッサ』は好調だ。結果、米国の全需が下がる中でスバル車の販売は1―3月で前年同期比9%増となっている」

 ―販売競争が過熱しています。
 「全体需要が頭打ちになる中、各社販売を維持しようとインセンティブ(販売奨励金)を積み増している。今年に入りフリート(法人などへの一括販売)も増えている印象で、今後さらにタフな戦いになる。ただ当社はこうした販売競争に真っ向から勝負せず、正しい値付け、適正なインセンティブを続ける。車の価値を下げない従来のビジネススタイルを守りたい」
2018年4月にケニアで採集してきたナンバンダイコクコガネ。ゾウの糞を食べる

 ―17年も販売台数を伸ばす計画です。
 「前年比9%増の67万台を計画している。今年は新型インプレッサと、小型SUVの新型『クロストレック(日本名XV)』が販売のけん引役になる」

 ―米国工場の能力増強で課題だった車の供給不足は解消されましたか。
「米国製はほぼ解消された。群馬製作所(群馬県太田市)から全数輸入するSUV『フォレスター』は若干足りないが、北米向けインプレッサの生産を米国工場に移管したこともあり、下期には解決するとみている。供給不足が解消される中、供給過多にならないように今まで以上に在庫管理を強化していく」
(聞き手=下氏香菜子)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
「アセント」の前評判も良いようだし、こういう時は下手に焦ってインセンティブなどで動かない方がいい。

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