「社員が会社を好きか」が競争力の根源になる!社員を喜ばせるサービスを
【連載】挑戦する地方ベンチャーNo.16 スタメン
「働いている人が会社を好きかどうかが、最終的には競争力の差になる」。名古屋のベンチャー企業、スタメンの加藤厚史社長はこう話す。同社は福利厚生などの社内制度活性化と社内SNSをミックスさせたサービスを提供。社員が制度を利用すればするほど、社内のコミュニケーションが活性化する仕組みづくりに取り組んでいる。
現在、売り手市場も影響して、企業が採用活動に使う費用は増加している。しかし実際働いている社員に対する福利厚生の意味合いを持つ社内制度は長年ブラッシュアップしていない企業も多く、社員もどのように使うのか知らない、という例もある。逆に制度自体が既得権益化してしまったり、使いにくくなったりして、社員のためになっているのか不明瞭、ということも起こる。
一方ベンチャーでは、社内の様々な制度を充実させる企業も多いが、あまりに制度が多くなってしまうと管理にも手間がかかるようになる。人数が少ないベンチャーにとっては難しい問題だ。また、強い組織、働きやすく離職率の低い職場をつくるにはコミュニケーションが欠かせない。現在さまざまな社内コミュニケーションツールがあり、各種チャットツールやLINEのグループ機能などを利用している企業も多いが、「1を10にするツールや業務用のシステムはあっても、オフラインでのコミュニケーションをも意識した、0から1に関するツールはあまりない」(加藤社長)。社内で同僚に興味を持ったり、話すきっかけを作るツールというのがなかなかないのが現状だ。
これらの問題点を解決するため、同社が開発したのが「TUNAG(ツナグ)」。「経営者のメッセージを発信できる社内制度の活性化サービス」と加藤社長は表現する。例えば、「チームビルディングをしたい」という企業には「部署内懇談会支援制度」や「〇人以上でのお出かけ補助」、「ワークライフバランスを充実させたい」という企業には「家事代行サポート」や「子供の医療相談サポート」などニーズに合った福利厚生メニューをカスタマイズして提案する。サービスをプラットフォーム化することで、申請に関わる事務処理なども一元管理が可能だ。
また、社内コミュニケーションのトリガーに福利厚生を活用する。サービスを利用した社員はツナグのタイムラインに利用時の写真などの報告をアップする。これによって社内で福利厚生が使われていることがわかるとともに、その社員がどういう人か、何に興味があるのかも一緒に共有される。「ある部活動補助制度の利用報告がタイムラインにアップされれば『この人これに興味があったのか』などがわかり、次に会った時の会話のきっかけになりますよね。また新しく入ってきた社員も『こんな部動動があるならやってみたい』となるかもしれません」(同)。
福利厚生に関する社内制度は導入した時がピークで、次第に使われなくなることが多いと加藤社長は話す。もちろん、日本人的な感覚では、社内制度や福利厚生を使うことに後ろめたさを感じる社員もいる。そこで社員の交流と手軽さをセットにし、使うことを楽しんでもらう仕組みづくりを意識しているという。
加藤社長はもともと東証一部上場のITベンチャーの役員として、人事領域を見ていた時期がある。そのとき、新規の採用や組織運営をする中で、最も大事なのは、会社の経営課題に即した「社内制度の設計」とその「運用」だと実感。その後、独立し2016年1月に会社を設立した。「会社が考えた社内制度や福利厚生を使うことはいいことだという雰囲気が作れるよう、UIやSNSなどの仕組みづくりにもっとも苦労しました」と振り返る。
「会社を好きになってもらうサービス」を開発した背景には、加藤社長自身の経験がある。もともとテレビ局で勤務していたが、前述のITベンチャーと出会い転職を決意。人事部の仕事とともに新規事業にも取り組み、結婚式場紹介サービスを0から企画し、立ち上げた。大手の式場紹介サービスと競合にならない『半年以内に式を挙げる人』をターゲットにしたことでニーズが合致した顧客が集まり、順調に成長していった。「ツナグも同じように大手の福利厚生サービス企業がありますが、競合しない分野を攻めています」(同)。その後も自転車の通販サービスを立ち上げ軌道に乗せた。
「いい人がいい思いをもって集まれば事業は成功する」。新規事業を展開していく中で実感した加藤社長は、良い組織を作りたい、という熱意を持って起業した。「スタメン」という社名にはその思いが込められている。
名古屋から東京に進出するベンチャーも多い中、名古屋で起業した理由について、「名古屋は人材不足だという意見を聞くこともありますが、わが社は人材に恵まれている。名古屋だって素晴らしい人材はいるんだ、ということを証明したい」と話す。
ツナグを利用している企業は、保険、飲食、人材、製造業など業界はさまざま、企業規模も15人から3000人と幅広い。加藤社長は「今後も企業の方と直接お会いし、経営課題を聞いてそれに対応するようなメニューをオーダーメイドで作っていきたい」と意気込む。
現在「HRテック」と呼ばれる人事労務に関するITサービスが次々にリリースしている。しかし福利厚生や社内制度活性に関しては導入効果が見えにくく、すぐに収益につながらないため導入に二の足を踏まれてしまうことも今後予想される。そこで同社では利用者のデータを取り、活用することを考えている。「例えば、社員が会社を好きになれば知人に紹介し採用に至るケースもあり、採用費用が1人分コストダウンしたことになります。こういった事例を集めていきたいです」(同)。
福利厚生が社員のためになっていない?
現在、売り手市場も影響して、企業が採用活動に使う費用は増加している。しかし実際働いている社員に対する福利厚生の意味合いを持つ社内制度は長年ブラッシュアップしていない企業も多く、社員もどのように使うのか知らない、という例もある。逆に制度自体が既得権益化してしまったり、使いにくくなったりして、社員のためになっているのか不明瞭、ということも起こる。
一方ベンチャーでは、社内の様々な制度を充実させる企業も多いが、あまりに制度が多くなってしまうと管理にも手間がかかるようになる。人数が少ないベンチャーにとっては難しい問題だ。また、強い組織、働きやすく離職率の低い職場をつくるにはコミュニケーションが欠かせない。現在さまざまな社内コミュニケーションツールがあり、各種チャットツールやLINEのグループ機能などを利用している企業も多いが、「1を10にするツールや業務用のシステムはあっても、オフラインでのコミュニケーションをも意識した、0から1に関するツールはあまりない」(加藤社長)。社内で同僚に興味を持ったり、話すきっかけを作るツールというのがなかなかないのが現状だ。
これらの問題点を解決するため、同社が開発したのが「TUNAG(ツナグ)」。「経営者のメッセージを発信できる社内制度の活性化サービス」と加藤社長は表現する。例えば、「チームビルディングをしたい」という企業には「部署内懇談会支援制度」や「〇人以上でのお出かけ補助」、「ワークライフバランスを充実させたい」という企業には「家事代行サポート」や「子供の医療相談サポート」などニーズに合った福利厚生メニューをカスタマイズして提案する。サービスをプラットフォーム化することで、申請に関わる事務処理なども一元管理が可能だ。
また、社内コミュニケーションのトリガーに福利厚生を活用する。サービスを利用した社員はツナグのタイムラインに利用時の写真などの報告をアップする。これによって社内で福利厚生が使われていることがわかるとともに、その社員がどういう人か、何に興味があるのかも一緒に共有される。「ある部活動補助制度の利用報告がタイムラインにアップされれば『この人これに興味があったのか』などがわかり、次に会った時の会話のきっかけになりますよね。また新しく入ってきた社員も『こんな部動動があるならやってみたい』となるかもしれません」(同)。
福利厚生に関する社内制度は導入した時がピークで、次第に使われなくなることが多いと加藤社長は話す。もちろん、日本人的な感覚では、社内制度や福利厚生を使うことに後ろめたさを感じる社員もいる。そこで社員の交流と手軽さをセットにし、使うことを楽しんでもらう仕組みづくりを意識しているという。
テレビ局からベンチャーへ、そして起業
加藤社長はもともと東証一部上場のITベンチャーの役員として、人事領域を見ていた時期がある。そのとき、新規の採用や組織運営をする中で、最も大事なのは、会社の経営課題に即した「社内制度の設計」とその「運用」だと実感。その後、独立し2016年1月に会社を設立した。「会社が考えた社内制度や福利厚生を使うことはいいことだという雰囲気が作れるよう、UIやSNSなどの仕組みづくりにもっとも苦労しました」と振り返る。
「会社を好きになってもらうサービス」を開発した背景には、加藤社長自身の経験がある。もともとテレビ局で勤務していたが、前述のITベンチャーと出会い転職を決意。人事部の仕事とともに新規事業にも取り組み、結婚式場紹介サービスを0から企画し、立ち上げた。大手の式場紹介サービスと競合にならない『半年以内に式を挙げる人』をターゲットにしたことでニーズが合致した顧客が集まり、順調に成長していった。「ツナグも同じように大手の福利厚生サービス企業がありますが、競合しない分野を攻めています」(同)。その後も自転車の通販サービスを立ち上げ軌道に乗せた。
「いい人がいい思いをもって集まれば事業は成功する」。新規事業を展開していく中で実感した加藤社長は、良い組織を作りたい、という熱意を持って起業した。「スタメン」という社名にはその思いが込められている。
名古屋から東京に進出するベンチャーも多い中、名古屋で起業した理由について、「名古屋は人材不足だという意見を聞くこともありますが、わが社は人材に恵まれている。名古屋だって素晴らしい人材はいるんだ、ということを証明したい」と話す。
ツナグを利用している企業は、保険、飲食、人材、製造業など業界はさまざま、企業規模も15人から3000人と幅広い。加藤社長は「今後も企業の方と直接お会いし、経営課題を聞いてそれに対応するようなメニューをオーダーメイドで作っていきたい」と意気込む。
現在「HRテック」と呼ばれる人事労務に関するITサービスが次々にリリースしている。しかし福利厚生や社内制度活性に関しては導入効果が見えにくく、すぐに収益につながらないため導入に二の足を踏まれてしまうことも今後予想される。そこで同社では利用者のデータを取り、活用することを考えている。「例えば、社員が会社を好きになれば知人に紹介し採用に至るケースもあり、採用費用が1人分コストダウンしたことになります。こういった事例を集めていきたいです」(同)。
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