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改正FIT施行、太陽光発電は「建設から管理」に比重移る

日本はドイツに比べO&M費は2倍。本当の保守サービスを競い合う
改正FIT施行、太陽光発電は「建設から管理」に比重移る

保守作業

 再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買い取り制度(FIT)の改正法が4月1日に施行され、太陽光発電所は保守強化が義務付けられた。

 各地で太陽光発電所の故障が報告されるようになり、保守の重要性が高まったためだ。市場も発電所の建設から管理へと比重が移っており、各社が保守事業に乗りだしている。

保険付き


 NTTファシリティーズは保険付き保守サービスを始めた。海外で実績豊富なドイツの監視装置メーカーも、日本へ進出する。

 NTTファシリティーズはすでに300カ所以上、合計出力60万キロワット以上の発電所に保守サービスを提供する。ソーラービジネス本部の中尾亮担当課長は、豊富な実績から保守の要を「監視と人の両輪」と断言する。

 インターネットで遠隔から発電量を監視する方法が普及している。発電量の落ち込みを検知すると異常と判断し、作業者を現場に急行させて故障を発見するサービスが一般的だ。計測器を増設して細かく監視すれば故障を早く発見できるが、コストが膨らむ。

 そこで「データをどう読むか。人のスキルが重要」(中尾担当課長)とし、監視データから問題を発見できる能力に磨きをかける。同社は週1回、勉強会で全国の担当者がトラブル事例を共有し、技能向上に取り組む。

 新しく始めた損害保険付きサービスは、故障の発見や修理だけでなく、保険請求までをNTTファシリティーズが担当する。発電事業者が保険金の査定や請求をすると手間が多く、復旧まで時間がかかることもあった。発電事業者の負担軽減を訴え、保守サービスを取り込む。

ドイツの実力企業が日本で監視事業


 ドイツのメテオコントロール(アウクスブルク市)は日本法人を設立し、4月1日から太陽光発電所の監視事業を始めると発表した。発電量を計測する監視装置の販売や、常時の診断サービスを日本市場で展開する。

 世界で4万カ所以上の監視実績を生かし、発電所の保守費削減を提案する。発電事業者や運営・保守(O&M)事業者に売り込み、3年間で累計10億円の売り上げを目指す。

 日本法人のメテオコントロールジャパン(東京都新宿区、山時義孝社長)は太陽光パネル販売のサンテックパワージャパン(東京都新宿区)との共同出資で設立した。

 診断サービスは、発電所の日射量を計測し、期待される発電量を算出して実際の発電量との比較を分析する。期待値以下であれば発電事業者などに報告する。高精度な診断で人による点検回数を減らし、保守費を削減する。他社の監視装置でもデータ取得ができればサービスを提供する。

 メテオコントロールは世界で約4万カ所の太陽光発電所に、監視サービスを提供している。日本法人の山時義孝社長によると、O&Mは独の約2倍という。

 点検頻度が独は年1回なのに対し、日本は年4―12回と多く、人件費がかさむからだ。山時社長は「高度な監視システムがあれば年1回で十分」とし、海外で実績のある監視装置を日本で提案する。

 改正FITで発電所の基準に「適切な点検・保守を行い、発電量の維持に努めること」が追加される。順守事項として、指針の通りに点検・保守を実施するよう求めており、日本電機工業会(JEMA)などが指針を策定した。

 太陽光発電所では製造や工事の不備による異常以外にも、鳥が石を落としてパネルが割れたり、雑草を刈っている時に誤ってケーブルを切断したりなど、想定外のトラブルも起きている。

 不具合に気付かないまま放置していると発電量が低下し、売電収入も減ってしまう。故障が多発するようだと、電力の安定供給にも影響するため保守が強化された。


 
日刊工業新聞2017年3月31日記事に加筆
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
政府が求める保守強化には「フェンスを設ける」「看板をかかげる」もあります。発電量の「見える化」は誰でもできます。それなのに「見える化」を売りにした保守サービスが多く、IoTって言ってみたりします。改正後「本当の保守サービス」が重要となり、保守事業者の選別が始まると思っています。

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